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2022ドラフト TOPICS

広島5位・河野佳(大阪ガス) 入団の意思を表明 揺るがないプロへの思い

 

11月8日、広島・鞘師スカウト[右]が指名あいさつに訪れ、約30分の会談後、河野[左]は笑顔を見せた


 ドラフト指名された選手の下に、担当スカウトら球団関係者があいさつに訪れる。毎年恒例の微笑ましい光景だが、広島から5位指名を受けた大阪ガス・河野佳(広陵高)の場合は少し異なる注目のされ方をしていた。10月20日、ドラフト当日の会見では指名された瞬間の心境について「ホッとしました」と答え、「何位でもスタートラインは同じなので。開幕一軍を狙って、そこからしっかり頑張っていきたいです」とも話していた。

 ところが、東京ガスとの社会人日本選手権1回戦敗退後には「上位指名が目標だった。プロへの思いはすごく強いが今後、会社としっかり話したい」と語り、プロ入りを悩むかのような心境とともに、入団拒否の可能性が報じられた。プロに進むのか、会社に残り翌年の上位指名を狙うのか。社会人屈指の本格派右腕が選んだ道はプロ挑戦だった。

意図していないことが報道


 日本選手権敗退から8日後の11月8日、大阪ガスの今津グラウンドに広島・鞘師智也スカウトが指名あいさつに訪れた。約30分の会談後、河野は言った。「即戦力として大いに期待している、と。その期待に応えられるように、開幕一軍を目指して頑張っていきたいと思います。小さいころから見ていた球団でもありますし、その広島カープでプレーできることはすごくうれしく思っています。入団拒否という自分の意図してないことが流れたことはすごい残念でしたし、その中でも自分の中ではプロに行きたいという気持ちに迷いはなかったので、そこは揺るがなかったです」。プロ入りの意思を明かした。

 会談中は時折、笑い声も聞かれるなど終始和やかなムードで進んだ。ドラフトで球団が獲得するのは入団合意ではなく、あくまでも交渉権確定。河野はそのことを十分に理解した上での発言だったが、報道側とのボタンの掛け違いが生じてしまった。

「まだ断言はできなかったので。球団の方とお話もしていない中で(プロに)行くとも言っていない中で、そのときにああいう質問が来たので『お答えできないです』と言ったんですけど『もしかしたら(プロ入りしない可能性も?)』ということだったので『はい』と言うしかなかったです」。鞘師スカウトも「僕は最初から前向きな話を聞いていたので、あの報道がホントかなあというところで……。あとで確認したら大きな問題ではないと聞いていたので。ドラフト前もしっかりお話しましたし、大会前も大会後も何回か個人的には来て、そこで何もマイナスな話をされたことないので、報道は手違いかなと思っています」と話した。

社会人で実績十分の即戦力


 ヤキモキしていた野球ファンもこれで一安心。河野は「任されたところ、先発でも中継ぎでも全力でやりたいなと思います。いろいろな報道が出ましたが、自分の中ではプロに行って活躍したいということに迷いはなかったので、広島カープに入ってファンの皆さまに応援されるような選手になれるよう頑張るので、応援よろしくお願いします」と、前向きに話した。

 最速151キロで制球力の高さとカットボールのキレは、まさしく即戦力。入社2年目の昨年には最多勝利投手賞(6勝)、最優秀防御率賞(0.21)、ベストナインのタイトル3冠に輝くなど、実力は折り紙付き。高校時代を過ごした広島であこがれの黒田博樹(元広島ほか)のような男気あふれるピッチングを披露する。

取材・文・写真=小中翔太
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