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<12球団合同トライアウト>3年ぶりに有観客で開催 野球をあきらめない男たちの熱情

 

戦力外選手などを対象とした12球団合同トライアウトが11月8日、楽天生命パーク宮城で行われた。今年の参加者は総勢49人。それぞれが野球に対する熱情を抱えながら、ユニフォームを懸けた戦いの場に臨んでいった。
取材・文=阿部ちはる 写真=松田杏子

今年の12球団合同トライアウトに臨んだ選手たち


元チームメート同士の対戦


 冷たい風が体を芯まで冷やしていく。11月8日、冬がもうそこまで近づいている仙台で今年の12球団トライアウトが行われた。2012年以来となった楽天生命パークでの開催は、3年ぶりの有観客ということもあり、球場に詰めかけた3141人のファンによって温かい空気に包まれていた。

 スタンドには12球団のスカウトも集まり、選手たちの表情には緊張の色が見える。野球を続けるためのアピールの場であり、ここでの投球、打席が最後になるかもしれないという独特の緊張感――。

「緊張なのか寒さなのか分からないですけど足がプルプルしていましたね」

 そう話したのは元ソフトバンク秋吉亮だ。秋吉は21年オフに日本ハムからノンテンダーとなり、22年には日本海OL/福井でプレー。7月にソフトバンクから声がかかりNPB復帰を果たしたが、2試合登板で防御率13.50に終わるとこのオフ、戦力外となった。

「アピールになるかもしれないし、今後声がかからなかったらこれが最後になるかもしれない。その一区切りとして最後にこのユニフォームで投げられたらいいかなと思ってトライアウトを受ける決断をしました」

 今後は独立リーグや社会人も視野に入れながら野球を続けるべく連絡を待つ。

 元チームメートの長野久義(巨人)が応援に駆け付けるなど、チームメートからもファンからも愛された元広島安部友裕は野手最年長での参加となった。戦力外通告後、トライアウトを受ける予定ではなく、一度休んだと言うが、「動けるなら。安部はこういう選手なんだとプレー以外の部分も見て分かってほしかった」と受ける決断をした。「純粋に野球を楽しめた」と笑顔を見せ、今後は「家族と相談しながら、自分が成長できる環境に身を置きたい」と語った。

 その安部がひときわ「楽しめた」と笑顔を浮かべた対戦相手が元楽天の福井優也だ。広島で8年間チームメートとしてプレーし、プライベートでも仲がいい2人の対戦。今季は二軍での対戦もあったが「まさかあんなシュートを投げてくるとは思わなかった」と笑い、「また一緒にユニフォームを着られる日が来れば」と目を輝かせたが、14日に引退を決断した。

 その福井は・・・

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