2022年シーズンは右腕にとって、これまでとはまた違う自分が見られた。先発としての可能性を感じられたのはもちろんのこと、大きく違っていたのは“心”だ。自分と向き合うことで得られた強さを武器に、新シーズンに向けては明確な目標を見据えている。 取材・構成=菅原梨恵 写真=佐藤真一、湯浅芳昭 手応えを感じた一戦
4年目となった2022年シーズンは終盤、先発でも結果を残した。プロ初先発は2020年に経験しているが、そのときとは状況も何もかもが違う。板東湧梧にとっては「悔しいことといいことと両方経験できたシーズンでした」。その中で最終盤に見せた好投の数々で「自分としては希望が見えたかなという終わり方ができた」と笑みをこぼす。 ――2022年シーズンを迎えるにあたっては、もともと先発ローテーションを目指してのスタートだったと思います。
板東 そうですね。でも、新型コロナで出遅れて思うようにいかなくなって、シーズンが始まってからも中継ぎで、という形だったので。
――シーズン中に中継ぎから先発で調整することになりましたが、難しかったのではないですか。
板東 中継ぎで通用しないのに先発で通用するかと言われたら、難しいところがある。(6月の再調整は)とにかく自分の球が戻るように、一から見直す期間にもなりました。ただ、そこで一番大きかったのは“メンタルの面”だったんですよね。自分の調整ができるようになったというか。技術うんぬんじゃなくて気持ちの面を意識することによって、どんどんいい方向に行ったなと思います。
――具体的にはどんな取り組みをしたのでしょうか。
板東 アプローチとしてはメディテーションと言って、『瞑想』ですね。セッションを受けて、先生に考え方など勉強させてもらいました。
――それまではメディテーションに取り組んだりというのはあったのでしょうか。
板東 本を読んだり、自分なりにやってみたりはしたんですけど、あんまり体感というのは得られなかったんですよね。でも、実際にちゃんと説明を受けて先生にリードしてもらいながらメディテーションしたときに、自分の中でいい感覚があって。ちょうど読んでいた本とやることがマッチしたところもあったんです。どんどん自分の中で腑(ふ)に落ちるというか、いい感じになっていった感じですね。
――気持ちの面が違うことで、いろいろな面で変化が出てきた?
板東 もともと技術うんぬんというよりも気持ちのほうで結果が大きく左右されるなというのは感じているタイプで。だから、そこが大事なんだなというのは、あらためて感じましたね。
――とは言え、技術的な面でも見直したところはあったかと思います。
板東 単純なところなんですけど・・・
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