週刊ベースボールONLINE

WORLD BASEBALL CLASSIC 2023

【侍ジャパン】大きな夢に向けて侍たちが本格始動! 日本代表の宮崎キャンプがスタート

 

14年ぶりとなる世界一を目指して、ワールド・ベースボール・クラシックに挑む30人中26人の侍戦士たちが宮崎に集結し、強化合宿がスタートした。大きな夢に向けた戦いが本格化していく。
写真=榎本郁也


ダルビッシュの存在感


 いよいよ14年ぶりの世界一奪還に向けた侍たちの戦いが本格化していく。2月17日からスタートした日本代表の宮崎合宿。頂点を目指す30人中26人の選手たちが栗山英樹監督のもとに集結した。

 錚々たる顔ぶれがそろう中、それでも一際、強い存在感を放っていたのがダルビッシュ有(パドレス)だ。指揮官も「全員に信頼を置いているが、やはり来てくれたことに感謝しかない。若い人たちと話をしながら、いろいろなものを与えてくれる」と絶大な信頼を寄せている。

恒例の記念撮影から侍合宿がスタート


 キャンプ2日目の18日には今永昇太(DeNA)、伊藤大海(日本ハム)とともにブルペンに入った。すると若手投手陣がいっせいに集結し、熱い視線を送る。フォームを確認しながら多彩な変化球を交えて35球。投げ終わったあとも、ボールを受けた甲斐拓也(ソフトバンク)と長い時間、話し込む。

「選手たちの距離が近い。(合宿は)短期間だけどチーム一丸となった野球を見せることができると思う」

 事実、ダルビッシュは多くの若手投手たちと積極的にコミュニケーションをとり、変化球の握りを含めて身ぶり手ぶりを交えながらアドバイスを送っていた。

ダルビッシュの存在感は一際大きい


 キャンプ3日目の19日には佐々木朗希(ロッテ)と山本由伸(オリックス)がブルペン入り。やはり多くの投手たちが集まって捕手の後ろから熱心に見守っていたが、その中にダルビッシュもいた。「本当にすごくいいものを持っている。山本投手も佐々木投手も、そのほかの投手たちもレベルが高い」。世界最高峰のスターターの1人にそんな言葉を掛けられれば、大きな自信になることは間違いない。

佐々木[上写真]のブルペン投球を栗山監督、ダルビッシュ[左から3人目]らが見守る


 熟考の末に栗山監督は、今回の侍ジャパンではキャプテンを置かないことに決めた。「一人ひとりが『俺が日本代表なんだ』『俺がチームを引っ張るんだ』と思ってくれる選手たち。それは当然、分かってくれている」と語ったが、一方でダルビッシュという精神的支柱がいることも決断を後押ししたのではないか。ダルビッシュがブルペンに入るときも、立ち去るときも、ファンから誰よりも大きな声援を浴びていたのもまた、特別な存在であることを際立たせていた。

「スイッチは入れてきた。むしろ落ち着ている」と栗山監督は冷静にキャンプインを迎えた


「勝つ」ために


 フリー打撃では連日、村上宗隆(ヤクルト)や山川穂高(西武)、岡本和真(巨人)といった主軸候補の面々が、気持ち良さそうに快音を響かせていた。そのたびに、スタンドからはどよめきが起こる。彼らがフリー打撃で軽々とスタンドインさせるのは野球ファンにとって当たり前の光景だが、「特別なものを見ている」「特別なチームを見ている」という高揚感が、純粋なため息となっていたのだろう。

村上[左]の打撃を見つめる牧。トップ選手同士がさらなる刺激を与え合う


 全体練習後は個別のメニューとなっていったが、メイングラウンドでは打球音がやむことはなかった。村上と山川が競うような特打を終えると、見守った栗山監督が取材対応でグラウンドを去る。スタンドの観客もまばらになる中、今度は山田哲人(ヤクルト)と牧秀悟(DeNA)が姿を現して特打を始める。しばらくしてグラウンドに戻った指揮官は「これからやるの!?」と目を丸くしていた。

 もちろん、「勝つこと。それがファンに一番喜んでもらえること」という指揮官の信念、選手たちの思いに揺らぎはない。実質わずか6日間の合宿。内野陣と投手陣によるサインプレーの練習はファンやメディアにも非公開で行われた。準備期間が限られているのは確か。それでも指揮官は「史上最強」とも目される選手たちの動きを目の当たりにすることで、「不安はない」と自信を深めている。大きな夢に向かって走り始めた、侍たちの戦いを見守っていきたい。

入場制限があったとはいえ連日、1万8000人を超えるファンが集まった

HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング