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<深層リポート>埼玉西武ライオンズ

「スポーツ×医療」による地域活性化 ライオンズ整形外科クリニックとは何か?

 

西武が帝京大学、アスリートメッド株式会社と協力して2024年春、ベルーナドーム向かいに「ライオンズ整形外科クリニック」を開業することになった。果たして、プロ野球界初の取り組みの狙いとは何か。その深層をリポートする。
取材・文=中島大輔 写真=球団提供

ライオンズ整形外科クリニック完成予想図


込められた多くの目的


 ベルーナドームに隣接する西武球場前駅から徒歩1分。試合日には買い物をするファンであふれるファミリーマートのすぐそばに2024年春、ライオンズ整形外科クリニックが開設される――。

 故障撲滅やチーム強化、さらには地域振興など多くの目的が込められたこの取り組みに関する記者発表が行われた1月30日、西武の球団事務所内の会見場には後藤高志オーナーや奥村剛社長、松井稼頭央監督に加え、スポーツ医科学サポートに関するパートナーシップを締結した帝京大学の沖永佳史理事長・学長とアスリートメッドの石嶋正幸代表取締役社長など豪華な顔ぶれが登壇した。

「それだけ力を入れた取り組みだということです」

 西武の市川徹企画室長はそう話した。19年から帝京大学に管理栄養士を派遣してもらい、選手のコンディション向上につなげようとするなど企画室はさまざまな取り組みを先導してきた。今年育成ドラフト2位で獲得したモンテルの傑出した身体能力を独自の測定で浮き彫りにした入団テストを提案したことをはじめ、チーム強化に裏側から貢献している。

 半面、球団としていくら体制や環境を整えても、最終的に判断するのは選手自身という“属人的”な側面もチームの現場では否めない。例えば栄養管理士がいくらバランスの取れた献立を提案しても、好き嫌いの激しい選手は肉ばかり食べるというケースもあるからだ。

 その意味で今回、帝京大学とのパートナーシップについて他球団のフロントが興味深い見解を示した。

「故障撲滅に直結するかは別として、球団として『ケガの撲滅に向けてコストをかけてやっていくんだ』という、チーム内での意識の醸成にはつながる気がします。『医者に逆らうということは、球団の方針に逆らうことなのだ』と」

 分かりやすい例を挙げると・・・

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