週刊ベースボールONLINE

球界ZOOM UP

新たな景色 巨人・坂本勇人がプロ17年目で初の三塁「(景色は)まったく違うものだった。日々、勉強──」

 

写真=川口洋邦


 ジャイアンツの歴史が動いた、と言っていいだろう。体調不良による特例抹消から復帰した9月7日、神宮でのヤクルト戦。巨人坂本勇人がプロ17年目、通算2081試合にして初となる三塁でスタメン出場。「五番・サード、坂本」がコールされると、G党からは大きなどよめきが起こった。

 プロ2年目の2008年に八番・二塁で開幕スタメン入りし、試合途中で遊撃にポジションを移してから、「ショート」は坂本の定位置であり、代名詞となっていった。以降、DHを除くと遊撃以外の守備に就いたのは13年に腰痛の影響で一塁を守った3試合のみ。今年の5月には史上初となる遊撃での2000試合出場という偉業を達成している。

 一方、近年は満身創痍の状態が続いていた。昨季は開幕前を含めて3度の離脱に見舞われ、今季も右太もも裏の肉離れで約1カ月、戦列を離れた。「ショートをしっかり守るということが前提。そのために、いろいろなことを頑張ることができる」と口にしていた男が、原辰徳監督から三塁起用を打診されると、「チームで動いている。そこは何もなく行けた」とチーム方針を受け入れた。

「五番・サード、坂本」のコールに球場はどよめいた


「(景色は)まったく違うものでしたし、慣れるまで時間が掛かりそうだなと。日々、勉強じゃないですか」と試合後に「三塁の景色」を振り返っていたが、存在感は際立っていた。4回二死二塁ではサンタナの三塁線を襲った打球を滑り込みながらつかみ、素早く一塁へ送球。5回無死一塁ではゴロをさばいて難なく併殺を完成させ、打っては3対2の9回にダメ押しの17号2ランを放った。

 指揮官は「彼には(これ以上)離脱してほしくない」と三塁起用の意図を説明しているだけに、一時的な措置ではなく、このまま三塁への本格コンバートということになるかもしれない。背番号6がプロ17年目で見た初めての景色、次なるステージで、新たな一歩を踏み出した。

約10年ぶりとなる「定位置」以外での守備でも好プレーを見せ、さすがの存在感を見せつけた

HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング