週刊ベースボールONLINE

球界ZOOM UP

期待と不安と 中日が立浪和義監督の来季続投を発表「すべてにおいて課題がある。もう1年、必死にやっていけたら」

 

続投に賛否両論はあるだろうが、来季に向けて大切なのはチームの一体感。指揮官の苦悩は深い[写真=桜井ひとし]


 9月15日の巨人戦(バンテリン)に敗れた試合後、中日立浪和義監督の来季続投を発表した。「立浪監督に来季も指揮を執ってもらうことになりました」と加藤宏幸球団代表。「昨日(14日)、阪神が優勝しました。球団社長、オーナーも含め、理解を得られたので、このタイミングでいいのではないかということで発表しました」と続けた。

 来季は3年契約の3年目。シーズン後ではなく、まだ残り試合もあるこのタイミングでの続投表明は、加藤球団代表が言うように阪神の優勝が決まったこともあるだろうが、2年連続の最下位が現実味を帯び、1980年に記録した勝率.372の球団ワースト記録(2リーグ制以降)が迫り、指揮官の責任を問う声が日ごとに大きくなっていたからだろう。

 しかし、球団は現状を過渡期とし、若手を積極的に起用しながらチーム改革を推し進めている段階と判断。来季も立浪監督に指揮を託した。任期途中に解任された指揮官は過去に大勢いるが、球団が選んだのは「変化」ではなく「継続」だった。「就任を要請するにあたって、何とか3年でチームを改革してほしい、明日のドラゴンズの道筋を作ってほしいとお願いをして引き受けていただいた経緯がありますので。歩みを止めないで改革を推し進めてもらいたい」と加藤球団代表が説明した。

 この2年の成績はあまりにも寂しい。“最後の切り札”と言われた立浪監督の誕生にファンは大きな期待を寄せた。しかし成績、そしてそれ以上にその戦いぶりにファンは今、落胆の中にいる。1年目の最下位は我慢できても、2年目の今季に来季への光がまったく見えてこないからだ。打てないだけでなく、守れない、走れないと“前進”ではなく“後退”しているようにも見える。岡林勇希石川昂弥高橋宏斗ら、若い芽は出ているが、チームの熱、一体感が欠けている。

 続投となった立浪監督は「すべてにおいて課題がある。もう1年、必死にやっていけたら」と来季への意気込みを口にした。2年連続の最下位となれば球団初の屈辱だが、オリックスヤクルトは2年連続の最下位(19、20年)からリーグ優勝を成し遂げている。果たして立浪ドラゴンズは――。
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング