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巨人・松田宣浩が今季限りで現役を引退 涙と笑顔の別れ「一番の目標の40歳まで現役でプレーするというのはクリアさせてもらった。やり残したことはない――」

 

サプライズで登壇した坂本[右]、内川とともに「熱男ポーズ」を披露。会見では涙する場面もあったが、最後は晴れやかな表情だった[写真=桜井ひとし]


 あふれる涙をこらえることができなかった。9月28日、巨人松田宣浩が都内で会見を行い、今季限りで現役を退くことを発表。「18年間のプロ野球生活は夢のような時間だった」と思いを口にした。

 引退を決断した理由を問われると、「1年前に原(原辰徳)監督から、ムードメーカーではなく、戦力として考えていると……」と話したところで言葉を詰まらせ、うつむき、目頭を押さえた。昨オフ、17年間を過ごしたソフトバンクを戦力外となり、幼少のころから家族で大好きだったジャイアンツへ飛び込んだ。しかし、一軍では思うような結果が出ず、多くの時間をファームで過ごすことになり、シーズン2度目の二軍降格となった9月上旬、妻に「そろそろ引退の時期かな……」と思いを打ち明けたという。

 ソフトバンクで7度の日本一に輝き、侍ジャパンでも2013、17年のワールド・ベースボール・クラシックで躍動。通算1832安打を積み重ねてきたが、数字以上の思いがあった。「一番の目標の40歳まで現役でプレーするというのはクリアさせてもらった。やり残したことはないくらい、いっぱい練習して、いっぱいバットを振って、いっぱいボールを捕ってきた」と振り返る。

 打って守って走って、そして声を出す。攻守走に「声」を加えた「四拍子」を追求してきた。「元気で明るくやることで、物事はいい方向に進んでいく」というメッセージは、二軍でともに過ごしてきた若手たちに伝わっているはずだと自負する。代名詞となった「熱男」パフォーマンスへの思いも吐露。「『熱男』というパワーはすごくて、5メートルくらい飛距離が伸びた。『熱男』という言葉との出合いはプロ野球人生の中で大きかった」と笑った。

 今後は自らを支えてくれた家族を、支える側に回りたいと言うが、その先に第二の野球人生も思い描いている。

「野球界、ジャイアンツに恩返しできる人間になっていきたい。野球界の松岡修造さんのような熱い人間になることを目標に、次のステップへ進んでいきたい」

 最後にサプライズで登壇した坂本勇人とソフトバンク時代の盟友・内川聖一に花束を渡され、また男泣きを見せたが、すぐに笑顔を取り戻して3人で「熱男ポーズ」。これからも、この男の「熱さ」が球界を燃え上がらせていくはずだ。

PROFILE
まつだ・のぶひろ●1983年5月17日生まれ。右投右打。180cm86kg。滋賀県出身。中京高-亜大-ソフトバンク06希-巨人23=18年。通算成績_1922試合1832安打301本塁打991打点135盗塁、打率.265。
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