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アジアプロ野球チャンピオンシップ2023 REVIEW

アジア王者は譲らない── 井端ジャパンの鮮やかな船出

 

日韓台にオーストラリアを加えてアジア王者の座を争ったアジアプロ野球チャンピオンシップ2023。井端弘和新監督率いる若手主体の新生・侍ジャパンは、見事に4連勝で17年に続く大会連覇を成し遂げた。
取材・文=杉浦多夢 写真=桜井ひとし、高塩隆


第1戦 停滞ムードを切り裂く一撃


2023.11.16@東京ドーム
□試合開始=19時3分 □試合時間=3時間15分 □観客数=24,288人
台湾0-4日本

 あまりに重苦しい空気が漂っていた。歴代の侍戦士たちも苦しんできた国際大会の初戦。井端弘和監督は戦前に「短期決戦なので早く乗ってくる選手が1人でも多くいればいい。打った選手はそのあともキーマンになる」と語っていたが、その最初の1本が出ない。相手先発・古林叡煬(グーリンルェヤン)の投じる150キロ前後の直球とカーブによる緩急の前に侍打線は沈黙を強いられ、6回一死までまさかのパーフェクト投球を許してしまう。

 重苦しい空気を切り裂いたのは、三番・森下翔太の一撃だった。7回先頭の小園海斗がチーム2本目の安打で出塁しながら、森下の打席の初球に一塁から釣り出される形で二盗に失敗。さらにムードが停滞しかけたところ、直後の2球目、150キロのストレートを一閃すると打球は左翼席へ。均衡を破る貴重な先制弾を突き刺した。「芯にかんでくれたので、あとは『伸びろ!』と。大学のときからこのユニフォーム(日本代表)を着て1本も打てていなかったので、初安打がこういう形で出てよかった」と破顔した一発に、指揮官も「盗塁失敗のあとの嫌な空気を一振りで変えてくれた」と賛辞を送った。

 森下は1対0で迎えた9回にも・・・

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