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2024ドラフト候補CLOSE-UP INTERVIEW

慶大・清原正吾インタビュー 偉大な父の背中 ブランク6年を経て努力でつかむKEIOの新四番「この体は、僕だけじゃない。誰かの活力になる人間になりたい」

 

NPB通算525本塁打の清原和博氏(元西武ほか)の長男・正吾(慶大新4年)は、卒業後の進路をプロ一本に定めた。なぜ、父と同じ世界を志望したのか。中学でバレーボール部、高校ではアメリカンフットボール部に在籍し、大学で再び白球を追うという、異色のキャリア歩んできた。そこには、覚悟と責任があった。
取材・文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

1年春・秋のフレッシュトーナメントでは「25」、2年春・秋は「5」、初めてベンチ入りした2年秋のリーグ戦では「49」、昨春のリーグ戦から「3」を着ける。バットは2年春から一貫として父モデル。「いろいろ試しましたが、一番しっくりくる」と芯が太いタイプを好んでいる


「ALL IN」の真骨頂


 2019年12月から母校を指揮する慶大・堀井哲也監督に「24年春展望」を聞くと、四番候補に「清原正吾」の名前が真っ先に挙がってきた。慶大は昨秋、東京六大学で4季ぶりのリーグ制覇を遂げ、明治神宮大会で4年ぶりの優勝を飾った。リーグ通算20本塁打の主将・廣瀬隆太(ソフトバンク)、昨秋の三冠王・栗林泰三(JR東日本)、同3本塁打の五番・宮崎恭輔(パナソニック)と、打線の主軸だった旧4年生が卒業。右の強打者3人が抜け、堀井監督は「新チームは、タイプ的に清原しかいない」と断言する。

 清原は昨秋、出場なしだが「歴史的に見ても、3年秋までの打席数(9打席、9打数1安打)は参考にならない。慶應には4年生で花開く伝統がある。『(春、秋で)年間10本塁打を打てばプロに行ける!』と話すと、本人も真顔で『分かりました』と。春は5、6本を期待しています」。堀井監督も慶大時代は4年秋に外野の定位置を奪取した苦労人。努力してきた最上級生が、学生ラストイヤーに有終の美を飾る土壌がある。

――堀井監督が四番候補に挙げています。

清原 どの打順、どのポジションでも、チームの勝利のためにすべてを捧げる1年にしたいので、今、自分ができることを精いっぱいやりたいと思います。大学の節目となるラスト1年を、野球人生の一つの集大成として恩返し、すべてをかけたい。実力的にはダメなんですけど、行けるものならば、プロに行きたいです。

――清原選手にとって、理想の四番像は。

清原 チームの勝敗を左右するポジション。昨秋は慶應の顔であった廣瀬さんがリーグ戦、明治神宮大会を通じて、ここ一番での本塁打が、ゲームの流れを大きく変えました。自分もそういう存在になりたいです。

――1、2年生はフレッシュトーナメント(2年生以下が対象)で、神宮の経験を積み、2年秋にリーグ戦デビュー。3年春は3試合で先発しましたが、2カードを終えてベンチを外れて以降は、スタンドでの応援組へ。3年秋は、ユニフォームを着る機会がありませんでした。

清原 慶應の野球部の良さは、チーム全員が勝利に関わっていること。今年のチームスローガンにも「ALL IN」というフレーズがありますが、各々の立場で200人以上の部員全員が全力で勝利を追求する。だから、応援席ではチームのために、声を張り上げていました。4年間はあっという間。限られた野球人生、落ち込んでいる暇はないので「花を咲かせてやろう!」と、闘志を燃やすスイッチが入りました。技術的には、打撃を構えの部分から一から作り直しました。始動をしっかり取って、タイミングを意識。真っすぐに負けないスイングで、常にストレートに合わせてセンター返し。センターバックスクリーンへ、でっかい本塁打を打ちたい。ただ、場面によっては、チーム打撃を徹底しています。内野から外野への挑戦もあり、肩も強くなりました。紆余曲折はあったかもしれませんが、今がベストの状態です。練習で出た課題を見つけて、つぶしていく繰り返しです。2月の鹿児島キャンプでしっかり仕上げていき、オープン戦を通じてアピールしていきます。

家族をつないだツール


――あらためて「プロ志望」の理由は。

清原 小さいころから父親の姿、背中を見てきて、あれだけ観客を沸かせる力を持っている。自分もそういう人になりたいと思い、野球を始めたきっかけにもなりました。プロの世界の厳しさを教えられてきましたけど、まずはこの1年間、結果を残す。プロを見るよりは、この1年で「ALL IN」したいと思います。

――社会人野球は選択肢にありますか。

清原 考えていないです。この1年でどういう心境になるか分からないですけど、「この1年をやり切る」という意味でも(プロ一本の)覚悟を決めたのはあります。就職活動? していないです。一番の目標としては・・・

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