高卒6年目の若武者が混沌としていたチームの正捕手争いに、一気に終止符を打とうとしている。ベビーフェイスに隠された5年間の苦闘、そして飛躍のきっかけとは。 写真=高原由佳、BBM 起死回生のアピール
10年に一度の大ブレーク劇となるかもしれない。ベビーフェイスの超新星が開幕から光り輝いている。プロ6年目の田宮裕涼。下の名前は「ゆあ」と読む。インパクト抜群の響きに負けないほど、今季のスタートダッシュはすさまじい。自身初となる開幕一軍入りすると、開幕戦では
伊藤大海とバッテリーを組み、いきなり2安打1打点。バットの勢いは衰えず、開幕14試合を終えて35打数14安打、打率.400と打ちまくっている。
昨季終盤までは、まだ知られざる存在だった。プロ4年目の22年まで一軍で通算21試合出場。主に二軍戦が主戦場だった中で、転機は昨年9月に訪れた。
「あの10試合がなかったら、僕は(24年の)開幕一軍に入れるか分からなかった」。5年目の昨季は一軍公式戦が残り11試合となった段階で昇格。9月25日の
楽天戦(エスコンF)でプロ初本塁打を放つなど、出場10試合で2本塁打、9打点と鮮烈な印象を残した。
今振り返れば、
新庄剛志監督がよく言う「努力は一生、本番は一回、チャンスは一瞬」を体現した約2週間だった。
打率だけを見れば、31打数8安打で.258と突出してはいなかった。最初のスタメン2試合は6打数無安打に終わり、3度目のチャンスで一発を放ったが、翌日は5打数無安打。転機となったとはいえ、最初の5試合(守備のみ出場の1試合を含む)で打率.071。それでもチャンスが続いたのは、守備面でもインパクトを残していたからだ。
田宮はプロ初本塁打を放った試合で、4回に盗塁を刺している。試合後の新庄監督は・・・
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