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ソフトバンクが史上最多9度目の交流戦優勝! 首位・日本ハムの背中をとらえる6年ぶりV

 

敵地・甲子園で決めた。ソフトバンクが6月22日の阪神戦を3対1で勝利し、6年ぶりの交流戦優勝を決めた。9度目のVは12球団最多。主力をケガで欠く中、日替わりヒーローが誕生し、勝負どころで力を発揮。投打がかみ合い、総力戦で頂点をつかんだ。

12球団最多、9度目の交流戦優勝。小久保監督は左翼席のホークスファンにV報告し、声援に応える[写真=松村真行]


 ソフトバンクは昨年、勝てば優勝の可能性を残して挑んだ阪神との交流戦最終戦を1対4で落とした。前日まで同率首位だった楽天が、広島に5対3で勝利。あと一歩で栄冠を逃した。あれから1年――。その悔しさを晴らすかのように、優勝を決めた相手は、くしくも昨年と同じ阪神だった。

 交流戦18試合目、運命の最終戦。双方無得点の4回表、二死から敵失2つで二、三塁の好機をつくると、J.ダウンズが左前適時打で2点を先制。1点リードの8回にはベテラン・中村晃が二死二塁から初球をたたくと左中間三塁打で、貴重な追加点を挙げた。先発・松本晴は5回2安打1失点(自責点0)でゲームをつくると、6回以降は5人でつなぎ、3対1で勝利し、歓喜の瞬間を迎えた。

「3連戦の勝ち越しをずっと掲げてきたのが、優勝につながった。リーグ再開に向けて、いい弾みになった」。12勝5敗1分け。小久保裕紀監督は充実の表情を見せた。


 打線では、12球団最多の79得点と爆発した。柳田悠岐今宮健太ら主力選手を欠く中、日替わりでヒーローが誕生し、チームに活気をもたらした。その象徴が柳町達だ。開幕二軍スタートも、交流戦で打率.397、得点圏打率.429と打線をけん引。小久保監督も「外せない選手から、チームを引っ張る存在になった」と絶賛。中日との交流戦開幕カードでは、3連戦で7安打、5打点でチームの3連勝に貢献した。

開幕は出遅れた柳町達だが、交流戦では三番を任され、打率.397。チームに欠かせない存在になった[写真=湯浅芳昭]


 野村勇は、チーム状況に合わせて内野すべてのポジションに出場しながら、チーム最多の3本塁打。攻守でチームを支えた。川瀬晃は、6月14日のDeNA戦(みずほPayPay)で、今宮のケガにより打席の途中で代打出場し適時打を放つ勝負強さを見せた。

野村勇は厳しいチーム状況に対応し、内野の全ポジションを守った[写真=湯浅芳昭]


 リチャードとの交換トレードで5月12日に巨人から加入した秋広優人は、3連勝を飾ったDeNA戦で3日連続のお立ち台に。20日の阪神戦では、17日に一軍に再昇格した高卒入団6年目・石塚綜一郎が大仕事をやってのけた。延長10回表二死三塁、代打で初球を右中間へ運ぶ決勝二塁打。2020年育成ドラフト1位で入団し、24年7月に支配下選手登録され、一軍デビューした苦労人だ。

 投手陣は先発陣の安定感が光った。リーグ戦では3.04だった防御率が、交流戦では1.77と驚異的な数字。先発投手の勝ち星は、9勝とゲームをつくった。L.モイネロは、18試合制となった15年以降で交流戦最多の37奪三振。救援ではロベルト・オスナが6月10日に配置転換となった抑えは杉山一樹藤井皓哉が務め、救援陣も盤石だった。

 一時は借金7で最下位に沈むなど、苦しい時期もあった。交流戦前は勝率.500の4位。交流戦で貯金7と盛り返し、首位日本ハムとのゲーム差は交流戦前の4.5ゲーム差から3ゲーム差と縮め、3位に浮上し、背中も見えてきた。「秋には、セ・リーグ1位の阪神と日本シリーズで戦えたら」と小久保監督。昨季は4年ぶりのリーグ優勝を遂げながら、日本シリーズではセ・リーグ3位のDeNAに2勝4敗で、無念の敗退。今年は真の王者を目指す。

 なお、6月22日時点で雨天中止の1試合を残し、順位は確定していない。楽天と並び同率5位のロッテが巨人戦で負け9勝9敗で終えても、そこに並ぶ広島との直接対決に勝ち越しているため、6位以上が確定。上位をパ6チームが占め、セとの明暗がくっきりと分かれることになった。
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