努力を重ね、積み上げてきた結果だ。広島が最終所属の選手では、史上9人目となる大台。今季は後輩の台頭もあり出場機会が限られる中、NPB13年目の37歳は、現状打開へと前を向き続ける。 写真=井沢雄一郎
※成績、記録は7月6日現在 
記録達成に沸くスタンドに、ヘルメットを外して感謝を示した
打球が三塁線を破り、背番号9が二塁に達すると、グラウンドは一際大きな歓声に包まれた。7月3日の
ヤクルト戦(マツダ広島)の9回、
秋山翔吾が、代打出場から2打席目でNPB史上79人目の通算300二塁打を達成。
松本健吾に対してカウント0-2から148キロのストレートを打ち返し、6月11日の
ロッテとの交流戦(ZOZOマリン)以来、自身15打席ぶりの安打が節目の一打となった。
初二塁打は
西武の入団初年度、2011年5月22日の
阪神戦(甲子園)。15年からは5年連続フルイニング出場。20年からは海を渡り、22年の日本球界復帰の際に広島に入団した。
日米通算1812安打を積み上げてきた秋山だが、今季は開幕直後に負傷離脱。5月16日の阪神戦(甲子園)で先頭打者本塁打と二塁打を含む3安打、同23日の
DeNA戦(マツダ広島)で二塁打を含む2安打を放つなど奮闘を見せるも、
中村奨成、
大盛穂の台頭で出場機会は限られ、不振にも苦しんだ。

5月23日のDeNA戦[マツダ広島]の6回には左翼線への二塁打を放ち、節目の記録に王手をかけた
一方で、日米でのプレー経験を生かし、来日1年目の新外国人野手のファビアンとモンテロに助言して、日本野球への早期適応をアシスト。母子家庭で育った経験から、ひとり親家庭の親子を試合に招待する企画を西武時代から計10年継続し、6月には中村奨と
羽月隆太郎も交流に参加するなど、多方面でチームや後輩選手に与える影響は大きい。
節目の記録に、
新井貴浩監督は「本人ももがきながら頑張っているので、きっかけにしてもらいたい」と期待を込める。秋山は「もっといい場面で打ちたかった」と苦笑しつつ、「積み重ねてきたものなので。前に進んで行くきっかけになれば」と意気込んだ。
チームは現在、首位の阪神に6.5ゲーム差をつけられた2位。チームの総合力が試される夏場、首位奪取を目指す戦いにベテランの力は欠かせない。
■秋山翔吾の年度別打撃成績 
※赤太字はNPBにおける歴代最高
PROFILE あきやま・しょうご●1988年4月16日生まれ。184cm86kg。神奈川県出身。横浜創学館高-八戸大-埼玉西武11[3]-レッズ20-パドレス22途-広島22途=13年。