終盤戦に入って、安定感はより増してきた。9月9日に打率を3割に乗せてリーグトップに立つと、その後も安打を量産してチームの連勝に貢献。自身初のタイトル獲得に近づきながらも、淡々と勝利を目指して集中力を高めている。 写真=井沢雄一郎 ※成績は9月14日現在 
順調に安打を積み重ねる小園。9月13日の中日戦[マツダ広島]7回二死一、二塁で適時打を放つなど、得点圏にもめっぽう強い
逆転でのCS進出を目指す中で、バットが冴え渡っている。9月13日の中日戦(マツダ広島)で2安打を放った広島・
小園海斗は、リーグトップの打率を一時.306に上げた。9日の
巨人戦(東京ドーム)からの連続安打を5試合、11日の同戦からの連続マルチ安打を3試合に延ばし、チームの3連勝に貢献した。14日の
ヤクルト戦(マツダ広島)は5打数1安打と連続安打は継続。依然としてセ・リーグ唯一の打率3割以上を維持する。

スコアボードの打率表示[9月13日の試合開始時]。9月9日に3割に乗せ、高打率を保っている
9〜12日は4戦連続で初回に先制打を放つなど、終盤戦を迎えて好調が続く。14日時点で9月は全12試合に出場して月間打率.388、5打点。9月に入って勢いを増し、熾烈な打率トップ争いを繰り広げる2位の巨人・
泉口友汰(.295)の一歩先を行く形だ。
高卒3年目の2021年に初の規定打席到達で打率.298をマーク。その後もコンスタントに数字を残し、昨季は初の全試合出場と、タイトルこそ未獲得だが、着実にキャリアを重ねる。
7年目の今季は3、4月の打率が.313と幸先のいいスタートを切ったが、5月は1割台と苦しんだ。それでも、6月以降は復調。9月9日の巨人戦(東京ドーム)で打率を3割に乗せてリーグトップに立つと、その後も打席での集中力を保ち、持ち味の積極打法で結果を残す。現状、安打数と出塁率もリーグ1位と、“3冠”のタイトルを射程に入れる。得点圏打率.412も、12球団トップの驚異の数字だ。
タイトル獲りへ期待は高まるが、当の本人は11日のお立ち台で話を振られると、「そっと見守ってほしいなと思います」と控えめにコメント。
チームは10日の巨人戦に敗れて自力CS進出が消えたものの、勝ちを重ねていけば、他チームの結果によって浮上の可能性は残っている。「ひたすら打って、勝つしかない」とチームの勝利だけを見て前を向く。無類の勝負強さは、自然体の表れ。勝負の終盤戦も、なすべきことは変わらない。