週刊ベースボールは立大・長嶋茂雄氏が巨人に入団した1958年に創刊された。10月22日発売号で通算4000号を迎える。節目を記念したプロ野球レジェンドによる「週刊ベースボール4000号記念トークイベント」の第2弾が、9月28日に東京都内で行われた。1955年生まれの同級生による思い出話は尽きなかった。 取材・文=上原伸一 写真=幡原裕治 
江川氏と掛布氏のトークイベントスペシャルカードの特大パネル前で撮影
高校時代の衝撃
「昭和の怪物」と呼ばれた元巨人の
江川卓氏。「ミスタータイガース」とうたわれた元
阪神の
掛布雅之氏。今回のトークショーで顔を合わせたのは、伝統の巨人-阪神戦で火花を散らした投打の大スターだった。
公式戦で185打席の名勝負を繰り広げた両雄は現役時代、あまり会話をする機会はなかったという。打ち解けたのは現役引退以降。掛布氏が「(江川氏とは)素直に話せるんですよ。不思議な関係ですね」と言うと、江川氏は「(火花を散らしたライバルなので)仲が悪いと思われるかもしれませんけど」と明かした。
2人の関係の良さは登壇直後から伝わって来た。「本題」に入る前から「週刊ベースボール」で表紙を飾ったときの話(江川氏は通算40回、掛布氏は25回)や、今年の阪神のリーグ優勝をけん引した
佐藤輝明の話題などでいきなり盛り上がり、日本テレビ在籍時から2人をよく知る司会の上重聡氏(フリーアナウンサー)を慌てさせる一幕もあった。
トークショーの最初のテーマは「心情の変化〜あの時、お互いをどう見ていた?〜」だった。同学年の2人が初めて出会ったのは高校2年のとき。江川氏が絶対的エースだった作新学院高と、掛布氏が中軸を打っていた習志野高が練習試合をしたときだった。ただ初対戦は実現しなかった。掛布氏は江川氏が登板する前に死球を受け、ベンチに退いてしまったからだ。打席で高校時代の公式戦でノーヒット・ノーラン9回、完全試合を2回達成した豪腕と対峙する機会はなかったが、江川氏のすごさを感じるシーンがあった。「江川が投球練習を始めると、試合を見ていた人が一斉にブルペンに移動しましてね。受けていた捕手のミットがすさまじい音を立てていましたよ」。
掛布氏は「打席に立ってみたかった」と振り返るが、プロ入り後は「高校時代の江川のボールを見なくて良かった」と思い直した。「たぶん三振していましたが、見下されたイメージが刷り込まれていたらプロでは打てなかったでしょうね」。
江川氏が掛布氏の存在を本格的に意識したのは・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン