プロ野球草創期に巨人で活躍した名投手・沢村栄治氏を記念し、そのシーズンに最も活躍した“完投型”の先発投手に贈られる「沢村栄治賞」。2021〜23年にオリックス・山本由伸(現ドジャース)が3年連続受賞し、昨年は該当選手なしだったが、今年は日本ハム・伊藤大海が初選出された。また、同時に26年から選考基準が変更になることも発表された。 
今年、パ・リーグ最多勝利、最多奪三振の投手2冠獲得の伊藤。初の沢村賞の栄冠にも輝いた[写真=兼村竜介]
10月27日、「沢村栄治賞」の選考委員会が都内で開かれ、日本ハムの伊藤大海が初受賞した。チームとしては2007年に
ダルビッシュ有(現パドレス)が受賞して以来、2人目の沢村賞投手の誕生となった。
選考委員会では、伊藤のほかに
阪神・
村上頌樹、
DeNA・
東克樹、
ソフトバンク・
有原航平が最終候補として挙がり、
堀内恒夫委員長が「両リーグでトップの投手、一番いい数字を大事にしよう」と言ったように、選手の成績を比較。選考7項目のうち、勝利数は4投手が14勝で並び、村上は防御率2.10、勝率.778で最もいい成績を残したが、そのほか4項目では伊藤がトップに立った。また、登板27試合、勝率.636、195奪三振は選考基準を上回ったことで、伊藤の受賞が決まった。
今年の日本ハムは伊藤の6完投をはじめ、
北山亘基、
金村尚真が4完投、
加藤貴之、
達孝太が3完投、
山崎福也が2完投、古林睿煬が1完投で計23完投。2位は11完投の
広島で、両リーグ合わせても断トツの数字だった。
新庄剛志監督はシーズン中から「やっぱり楽しくないですか。最初に投げたピッチャーが最後まで。そういうプロ野球に戻ってほしいなという意味でも」と先発完投を奨励。この方針に、堀内委員長は「新庄監督の考え方に私は非常に賛同して、この沢村賞に関してはありがとうと思っております」と感謝を示した。
伊藤は、球団を通じて次のようなコメントを発表した。
「ピッチャーとしてあこがれていた賞であり、目標にしてきた賞ですので、選んでいただき、本当に光栄です。1シーズン投げてきたことを評価していただき、心からうれしく思います。自主トレから意図を持って練習に取り組み、シーズン中の試合はチームの勝利を目指して必死に投げたことが今年の結果につながったと感じています。
僕を信じて励ましてくれた新庄監督、支えてくれたチーム関係者の皆さま、家族はもちろん、応援し続けてくれたファンの皆さまに感謝の気持ちを伝えたいです。この賞をいただいた喜びをかみしめつつ、さらなる高みに到達するため、今後も日々のトレーニングに励んでいきたいです」
2026年から選考基準変更
【完投】10 → 8 【登板回】200 → 180 選考委員会後の会見では、来年に沢村賞が80周年を迎えるにあたり、選考基準が見直されることも発表された。変更となるのは2項目で、完投数はこれまでの「10」から「8」へ、登板回数は「200回」から「180回」へと緩和された。投手の分業制が根付いた現在のプロ野球ではこれまでの選考基準をクリアすることが難しくなっており、沢村賞受賞者のうち10完投に到達したのは2020年の
中日・
大野雄大、200回到達は18年の巨人・
菅野智之(現オリオールズ)が最後。堀内委員長は反対意見もあったと明かしながら、「最終的には伝統や理想と時代性を両立させながら、沢村賞の理念に沿う形で選考基準を見直すことで一致しました」とコメントした。