昨シーズン限りで16年在籍した愛着あるロッテのユニフォームを脱いだ。熱烈なマリーンズファンの後押しを受け、スピードあふれるプレーで魅了。現役続行を目指し、新天地として選んだのはチェコだった。40歳。まだまだ輝き続ける。 取材・構成=尾辻剛 写真=BBM 
荻野貴司[ドラチ・ブルノ] 千葉県内での調整の合間にインタビューに応じた。4月に開幕するチェコのリーグ戦に向けてコンディションを整える
野球ができる喜び
プロ野球はキャンプを経て、オープン戦に突入した。チェコリーグに挑戦する荻野は昨年までとは違った形で2月1日を迎えた。ロッテのチームメートで、オランダリーグに移籍する石川歩投手と千葉県内で汗を流してきた。新天地でのプレーに向けて、着々と準備を進めている。 今は少しずつ練習している状況です。2月も変わらず体を動かしています。石川と日程が合うところで週5日ぐらい、一緒にやっています。ロッテ退団後は、しばらく体を休めてケア、メンテナンスをしていました。どうしても古傷の右膝が痛むので、治療にも行っていましたね。本格的に動き始めたのは、1月に入ってから。まだ全然、体が出来上がっていなくて、調整段階です。寒いのもありますし、膝の状態もなかなか良くならない。今までの積み重ねの疲労もあるので、そこは相談しながらやっています。ちょっと上げて休んで、という繰り返しで徐々に上がっていければいいかなと思っています。本当にゆっくりゆっくりという感じでやっていますね。
キャッチボールは石川とやっています。バッティングは施設でしていますけど、まだ前から来た球は打っていません。ティー打撃ぐらいですね。3月まではそんな感じで調整していこうと思っています。ただ、石川は3月の頭ぐらいにオランダに行きたいという話をしていたので、それからは1人になる。実戦の球も打たないといけません。クラブチームとか、いろいろな人から「練習に来ていいよ」と言われているんですけど、どうしようか検討しています。ロッテに入団した時に監督だった西村(
西村徳文)さんも宮崎独立リーグで(宮崎サンシャインズの)GMになられて「宮崎に来ていいよ」と言ってくれています。
チェコのシーズンが始まるのは4月。初戦は4月10日と言われているので、そこに間に合うようにやっていきたいですね。多くの友人や知人、関係者が「チェコに行く前に食事に行こう」と誘ってくれています。とてもありがたいことなんですけど、全員と行っていたら家族との時間が取れなくなるし、日程調整がすごく難しい。夜はバタバタしています。シーズンが終われば、半年で帰ってくるんですけどね。「決起集会しようよ」みたいな連絡もきます。メジャー・リーグに行くんだったら分かるんですけど、そんな大げさにしなくてもと思っています。
振り返ると、ロッテにドラフトで指名されたときは正直、ビックリしました。予想は下位だったので、まさか1位とは思っていなかったですね。でも、ドラフト1位のプレッシャーは全然ありませんでした。入団1年目はガムシャラにやって、突っ走って、体がボロボロになっちゃったという感じでした。バッティングで少し結果が出始めてきた2019年(リーグ3位の打率.315)辺りから、自分を少しずつ知ることができましたね。
それまでは他人の意見を聞き過ぎていました。コーチに言われて変えて、また違うコーチに言われて変えてと繰り返して結局、自分がどこを目指したいのか分からなくて……。でも19年ぐらいから、「自分はこういう感じで打てばいいんだ」とか「こっちのほうが自分に合っているんだ」というのがちょっとずつ分かってきたんです。自信というか、進む方向がようやく見えてきたという感じでしたね。(トレーナーの)木村(木村匡宏)さんに出会って、僕の体に合った動きを教えてくれました。それで「こっちの動きが合っていたんだ」とか、今まで違和感があったことも「何で違和感があったのか」ということが理解できたんです。
ロッテではケガすることが多かったですけど、ケガがあったから、いろいろな人との出会いもあったんだと思います。リハビリのしんどさとか順調にいっていたら味わえないこともすごく味わえましたし、野球ができる喜びも、今までケガしてきた分、もしかしたら人一倍あるかもしれないです。常にケガをしていましたけど、落ち込むだけじゃなくて、復活したときに「どんな自分になっているんだろう」と楽しみながら・・・
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