身長163センチと12球団支配下選手の中では最小の水口大地。多くのポジションを守れ、俊足、好打でも周囲の信頼を得つつあるが、この地位にたどり着くまでは以前使用していたグラブとの物語があった。 取材・文=小林光男、写真=高塩隆 「“こいつ”がいると……落ち着くんです」
4月下旬から一軍に定着している
西武のユーティリティープレーヤー、水口大地は愛おしそうに今年のオープン戦まで使っていたグラブを見つめる。本職は二塁だが、三塁も守る背番号00。人工芝の球場が多く、さらに一軍打者のスイングは鋭い。二軍とは段違いの速い打球が三塁手を襲う。それに対応するために、現在は以前と同じ形ながら長くしたグラブを左手にはめてプレーしている。
「でも、いまだに怖い。何かあったときのために“こいつ”をいつも持ち歩いているです」
2013年、育成ドラフト1位で西武に入団した水口。“こいつ”はプロ入団時から使用し始めたが、その“源流”は独立リーグ時代にある。高校卒業後、ユニフォームを着た長崎セインツが経営難で解散し、香川オリーブガイナーズへ移籍することになったそのオフ、地元・長崎のスポーツ店で市販のグラブを手に取った。
「大き過ぎたら扱いづらく、小さ過ぎても不安になる。そのグラブはちょうどいいサイズで、はめたときの感覚も良くて、ハマったんです」
西武入団後、その形と同じグラブを新たに作ってもらい、プロ野球人生をスタート。“こいつ”と二人三脚で支配下登録を目指していった。
「プロではサイズが小さいほうだったので、メーカーの方にいろいろ大きさなどを改良したグラブを作ってもらったんですけど、どうしても合わない。何回も新しいグラブで試合に出ようかと思ったんですけど、どうしても安心感は得られず、変えることはできませんでした」
ただ、2年経っても育成選手から抜け出すことはできなかった。そこで、支配下登録を勝ち取るため・・・
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