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道具の流儀 2017

ソフトバンク・高谷裕亮 ミズノのキャッチャーミット 先を見据えて“育て”操作性の高いミットへ

 

正捕手不在とは言われながら、常勝軍団の中で居場所を確立してきた。紆余曲折を経て、たくさんの人に支えられた野球人生。「1年でも長く」。育て上げてきたキャッチャーミットとともに恩返しの活躍を誓う。
取材・文=菊池仁志、写真=湯浅芳昭


 大切にしている時間がある。熱闘の余韻冷めぬロッカールーム。高谷裕亮は使用したキャッチャーミットと対峙する。試合を振り返りつつ、1日の感謝を込めて丁寧に手入れを施すのが日々のルーティン。「僕らで言う、お風呂に入るようなもの」。新しい明日を迎えるために必要な時間だ。

 捕手として「投手の1球を引き出すために手を尽くすこと」を矜持とする。データを踏まえ、状況を的確に把握し、打者の様子を観察して導き出す1球。その結果は瞬時に頭脳に蓄積され、次の1球を決断する根拠となる。今シーズンがプロ入りから11年目。レギュラーとして常時、試合に出場する立場になったことはないものの、ほかの選手がマスクをかぶって受ける1球さえも自らの糧にしてきた。膨大な裏付けが配球にはあり、積み重ねた経験の分だけ1球に懸ける思いも深くなる。

 6月10日の阪神戦[ヤフオクドーム]の守備で右手中指にファウルチップを受け、右手第三指末節骨骨折。現在はリハビリに励みながら「1日でも早く戻るという気持ち」と息巻いている。昨オフ、チームは細川亨(現楽天)と契約を結ばず、今季、開幕一軍に24歳の甲斐拓也を抜てき。高谷が負傷離脱するまでは鶴岡慎也との捕手3人体制で戦いを進めてきた。新陳代謝による高いレベルでの戦力維持は強さの継続に必要不可欠だが、すんなりと立場を譲るわけにはいかない。キャリアの長さは若さで覆すことができない大きな財産だ。

 その左手にいつもある。古田敦也(元ヤクルト)のモデルを元にした赤をベースにしたキャッチャーミット・・・

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