手にするバットが金属から木製に変わった4年前の入団時から、木材、長さ、重さが変わらないのは、自らの感覚を保ち続けるため。だから、試合以外でも常に同じバットを振り続けるが、昨季から変化が見られ、1試合でも2本のバットを併用。中軸に定着しつつある成長株が、経験を基にバットも進化させていく。 取材・文=鶴田成秀 写真=高原由佳、BBM 今季は2本のバットを併用。異なるのは重さで、自らの状態や相手投手に応じて1試合の中でも打席に応じて使い分けている
知識は経験とともに養っていけばいい。だから感覚を大事にした。プロ入りを控えていた明桜高3年秋のこと。あらゆる形状の木製バットを寮で手にし、プロで勝負する1本を決めた。「バットの知識はなかったので『持ちやすさ』で決めたんです。一番しっくりきたものを」。
木材は反発力が高い硬いメープルで、長さは33.5インチ(約85.1センチ)、重さは890グラム。その形はプロ入りから変わらないが、感覚を求めたのは「バットをバットと思わないで、体の一部としてスイングしたい」の思いから。ヘッドをくり抜いているのも、「振り抜きやすい」と、自然体を求めると、高卒1年目から順調に成長を遂げて、昨季に五番・DHで開幕スタメンを飾って一軍デビュー。最大の武器である長打力を示し、今季は代打本塁打を放つ勝負強さも見せて、自身初の2ケタ本塁打に到達している。
感覚を大事にしているのは、試合前の練習を見ても分かることだ。毎日欠かさないロングティー、さらに・・・
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