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豊田泰光のオレが許さん!

写真名鑑号を開いてみると

 

選手名鑑で自己を主張している顔はほんのわずか。同じ顔ばかりが並ぶ


「週ベ」の2月24日増刊号は恒例の「プロ野球全選手写真名鑑号」。楽しみに名鑑ページを開いたのですが、写真が小さいせいもあるのか、なんかみんなおんなじ顔に見えてしまいました。

 この「おんなじ」という感じは年々強くなっていくような気がします。この欄の読者にはその理由は説明しなくても分かるでしょう。ハッキリ言って、プロ野球選手の没個性化。それぞれに強烈な自己主張がないと、み〜んな、おんなじ顔になってしまうんです。

 名鑑はソフトバンクから始まっていますが、ここで自己主張している顔は残念ながら見つかりませんでした。去年までなら、きかん坊を絵にかいたような杉内がすぐ目に飛び込んできたのですが巨人に行っちゃった。

 日本ハム。ダルビッシュがいないからパス。西武も、パスだなあ。オリックスもパス。楽天は、球界一のきかん坊フェースの田中だけ。ロッテもパス。

 セ・リーグは、中日にいました。戻ってきた川上憲伸です。こういう個性がどうして逃げ出したのか、中日球団と過去の監督は反省すべきでしょう。ヤクルトはパス。巨人は、去年までは小笠原だったけど、今年はパス(杉内は活躍したら認めましょう)。阪神もパス。広島もパス。DeNAもパス。

中日・川上憲伸がなぜ日本から逃げ出したのか、球団と当時の指導者はよ〜く考えるべき[写真=松村真行]



 オレは別に原稿の行数を稼ぐためにこんなことをやってるのではありません。これはオレの好き嫌いではなく、過去の大選手たちの個性的な顔とプレーぶりを思い浮かべながらの比較ですから、どうしても点が辛くなるのです。それにしても、ここまで名前が挙がったのが、ダルビッシュを入れても5人だけというのは寂しい限り。

 顔がみんな同じと言ったけど、巨人なんか、その同じさの具合も変わっちゃったと言いたい。以前は、同じに見えても、巨人選手の顔には共通の雰囲気があった。それがいまはない。むしろ、阪神なんかの方にまだ阪神らしさが残っています。強烈な個性は感じられなくても、「オレはタイガースだ」という匂いを感じます。こういう感じのあるなしというのは何なのでしょうかねえ。

 顔が似てくればチームの色も似てくるのは理の当然で、チームの色が同じなら、差をつけられるのは戦力のみ。これがいまのプロ野球じゃないですか。だから、戦力差があっても、そのチーム伝統の独特のカラーが、相手にケタぐりをかけて引っくり返すという痛快さがない。戦力どおりの勝ち負けになって、面白くも何ともない。

 巨人はソフトバンクから2投手合計27勝をいただき!DeNAから四番打者をいただき!のえげつないことをやって、まるで違うチーム。対照的にソフトバンクは43勝分の穴があいちゃってこちらもまるで別のチーム。たった12チームしかないのに、こんなに極端な戦力の移動や消滅があっちゃあ、興行とは言えんでしょうが。

 このへんをスポーツマスコミは、ほとんど問題として取り上げない。これが巨人から43勝が消え、日本一のソフトバンクがさらに27勝加えたとしたらどうか。スポーツマスコミは「巨人が危ない!」というので、いろいろ騒ぐでしょう。「巨人が勝てばいい」なんて時代はとっくに終わっているのに、時代錯誤的に大騒ぎするんだろうなあ。

いまの選手はいいニックネームを持たない。相撲の例もあり今後が心配


 没個性化というのに戻りますと、いまの選手は、いいニックネームを持たんものね・・・

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