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豊田泰光のオレが許さん!

自分自身に号令を!

 

ケガのリスクやムダの少ないいまのキャンプだからこそ自分を磨ける!


 この号は、2013年1月7、14日合併号。日付ではもう新年です。今回は「2013年への期待」的な原稿を書くべきなのかもしれませんが、いまのプロ野球は、評論家が「今年も期待してますよ。楽しみだなあ」なんてのん気なことを言って済むような状況じゃありません(そのことを1年間書いてきたようなものです)。

 そういう状況の元では、もう選手諸君が、自分自身に「やれ!」「野球をやれることが、いかに恵まれているかを知れ!」「野球を職業にできるなんて、こんな素晴らしいことはないんだぞ!」と号令をかけるしかないんです。

 どんな人間でも、頑張ること、これが一番大事なことなのです。「ああ、また自主トレ、キャンプか。面倒くさいなあ。つらくて退屈な日々が続くんだよなあ」というのが最悪です。野球でメシを食ってるなら、こんなタワケたセリフは絶対に吐けないハズです。新年はね、まずこの“たわけ心”を追放することから始めんと。

 まあしかし、体が資本なのだからケガだけはせんでほしいなあ。「昔の選手はケガに強かった」という“神話”がこの世界では生きてるようですが、確かに、先天的に強い人はいましたよ。でもね、ケガするときはするんです。ただそれを隠していただけです。使ってもらえなくなるから。それに比べると、いまの選手は恵まれてますよ。言われたとおりにやってりゃ済むんだから。ケガのリスクは大いに軽減されています。

 うさぎ跳びとか、イ〜チ、ニ〜イと掛け声をかけながらの集団素振り、フリー打撃でのならしスイング……昔はアホなことをやらされたものです。いまはどこもやってないでしょうけど、昔は、こんな練習が効果的だと思われていたんですねえ。こういうムダはいまはない。ケガのリスクやムダなことがない練習になっているのなら、なおさら必死になって自分を磨かんと。

 オレはね、西鉄に入ったとき、すぐにこのリスクとムダに気付きました。「プロなら実戦に直結した練習をしないとおかしいじゃないか」と。で、フリー打撃は初めからフルスイングで打ちましたよ。ず〜っとのちですが、兼任打撃コーチのとき、打撃練習で帽子だけでやっているヤツがいたので「どうしてヘルメットをかぶらないのだ」と怒ったことがありました。試合の打席にヘルメットをかぶらずに入るバカはおらんでしょう。練習は、常に実戦を想定してやらんと意味がないのです。

 いまの合理的と言われる練習だってね、自分の頭で考えながらそのスケジュールに入っていかないと、やらされるだけに終わってしまう危険は十分あるのです。

 花巻東高の大谷翔平君は日本ハム入りを決断しましたが、彼にこそ・・・

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