カリブの野球少年たちはショートを目指す。それが目立つし金にもなる'
WBCは準決勝で敗退ということになりましたが、その話はあと回しにして、準決勝のもう1つの試合(日本時間3月19日、ドミニカ共和国-オランダ戦)を見ていて、いろんな考えが浮かんだので、それから書きます。
この試合、ドミニカの最後の3人の投手が恐るべきピッチングを見せて「強い。こりゃ無敗で決勝に行くハズだ」とオレは納得したのですが、3人のストレートは150〜157キロ。これが、ほとんどコーナーに決まる。時折まじえる変化球が、これまたすごい。オランダ打線は手も足も出なかった。こういう投手は、アジアでの1、2次ラウンドではいなかったものねえ。
カリブ海の諸国・自治領にはすごい投手がゴロゴロしてるんですね。しかし、この試合の解説者とアナウンサーのやり取りの中で、カリブ海の野球少年たちにとって、投手になることは“最後の選択”であることが分かって、とても興味深かった。
カリブの有能な野球少年たちは、まずショートを目指すんですってね。肩が強く、足が速く、バッティングもいい、この3拍子そろった才能をいつも目立たせることができるのがショート、というのが彼らの認識らしい。
メジャーでも昔は、打撃は二の次というショートが多かったけど、最近はヤンキースのジーターのようなショートが大人気で、ヤンキースのサードのA.
ロドリゲスも、もともとショート。ちょっと前ではオリオールズのリプケン・ジュニア。こういう連中が、カリブの少年たちの理想なんでしょうね。オランダのショートは、投手もやり98マイル(約157キロ)を投げるそうですが、ショートの方がいいという。
こういう考えは、恐らく、「たくさんお金を稼ぎたい」という彼らの根本精神(?)から来るんでしょう。ピッチャーじゃ毎日試合に出るワケにいかんもの。内野手なら毎試合出て派手なプレーを見せられる。そして、毎日メディアが報じてくれる。
そこへいくと、日本はかなり違った考えに立つ。日本の野球の原点である高校野球では、投手が一番のスターなのです。最も運動能力に優れた選手が投手になることが多い。だから「エースで四番」が生まれることになる。
日本ハムの大谷が好例でしょうが。日本のプロ野球選手の中で最高の運動能力を持つと言われる
オリックスの糸井は近大では投手でした。
そういうことですから、日本の投手は世界的に見ても高いレベルを保つことができるのでしょう。
それとドミニカの内野手の小さなグラブも話題になってました。たしかに小さい。その小さいグラブに指を浅く入れるからてのひらの3分の1ぐらいは、はみ出ている。彼らはそれくらいでも平気でプレーしてる。
野球の道具の中でも、グラブは個人の好みが極端に出るところなんですね。極端に言えば、グラブは体の一部なんです。使う人が「これは体の一部だ」と感じるグラブを使えばいいワケです。日本の選手が「ちょっと格好いいな」とドミニカの選手をマネしても、多分失敗します。
昔は、日本製のグラブは粗悪でねえ。64年にアメリカに行ったとき、オレは最高のヤツに巡り合ったので、大枚はたいて持ち帰りました。これを1年かけて手入れして、それから使いました。すぐおろしたらもったいないというか、畏れ多いというか。まあ、それぐらいいいグラブが貴重な時代でした。いまは業者から届いたらすぐに使えるとか。いい時代になりましたよ。
「行けるなら行け」のWスチールは最悪
あそこは阿部に期待すべき
それはともかく、今回のWBCで感じたのは・・・
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