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則本昂大 投手 #14

29年ぶりの大役を全うした新人王候補

 

 敵地・ヤフオクドームのスタンドから拍手が送られた。奮投をたたえる拍手だ。則本昂大は、新人として84年の高野光(ヤクルト)以来、29年ぶりに開幕戦の先発マウンドを任された。7回一死一、二塁のピンチを招いたところで降板。その時点で1対2。ビハインドは1点だった。リリーフ陣が打ち込まれ、6回1/3で4失点。敗戦投手になったが「初登板だったので70点をあげたいけど、勝てなかったので60点。次は勝ちたいです」と前を向いた。

 絶対的エース・田中が、WBCの影響で4月2日の本拠地開幕戦・オリックス戦に回ったことで、チャンスが巡ってきた。星野監督も、2月のキャンプから釜田、辛島らを代役候補に指名。ダックワースも候補に挙がったが、則本は、オープン戦5試合で3勝0敗、12球団で3位の防御率1.44と抜群の成績を残した。指揮官は「いいピッチャーだから(選んだ)。このチームは無難ではダメ。突き進んでいかないといけない」と新人右腕に開幕戦の命運を託した。話題性ではなく、実力で勝ち取った開幕投手だった。

 パ・リーグの投手としては、58年の杉浦忠(南海)以来、55年ぶり、ドラフト制導入後は初めての大役だった。杉浦以来の開幕戦でのプロ初勝利という快挙は達成できなかったが、星野監督は「よう投げた。立派なもんだ。次が楽しみ」と今後に期待した。

 大役を終えた則本の目は、すでに先を向いている。開幕前は、日本ハム・大谷、ソフトバンク・東浜らに話題を奪われたが、一気に新人王の筆頭候補に躍り出た。「ほかの新人は気になりますけど、誰にも負けたくありません」。このまま新人王まで突き進む。

オーロラビジョン

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