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中田翔 内野手 #6

前半戦の勢いそのままに3冠王も視野へ

 



 逆襲劇をけん引している。不動の四番・中田翔が初のタイトル奪取も視野に入れる進化を見せている。7月9日現在で21本塁打はパ・リーグ単独トップで、56打点は同2位。打率も.313のハイアベレージで、3冠王の野望を抱ける進撃ぶりだ。心技体、充実の1年を突き進んでいる。「いろいろと考えて打席に立てている。これが、昨季までとは違うところ」と胸を張る。

 昨季パ覇者の打線の看板だけに、意地とプライドで突き進んでいる。チームは開幕から低迷して一時は最大で借金10を抱えるどん底まで落ちたが、そこからすくい上げたのが中田だった。6月に約2週間で借金を完済したが、その間に7本塁打。「試合を決める場面でいつも打ちたいと思っている」と胸に誓う使命の通り、バットでチームの局面を打開した。主砲の働きを見せている。

 6年目を迎えて一段、レベルアップした。貴重なきっかけになったのは日の丸を背負ったWBC。野手最年少で代表入りし、レギュラーを奪取。その期間中に侍ジャパンの山本浩二監督ら指導者、巨人阿部慎之助ら一流の選手と知り合った。多方面からの意見を聞くことで技術や打席での対投手への思考の引き出しが増え、打席内でのフォームの工夫など一変した。

 昨季から叱咤激励しながら見守っている栗山監督は言う。「翔はこんなもんじゃない、と思っている。だから簡単には褒めない」。日本球界で貴重になった和製大砲。プレースタイルが洗練され、一流と呼ばれる領域へと足を踏み入れつつある。だが本人は「まだ、まだの部分もあるから」と慢心はなし。急成長を遂げる若き四番がさらなる高みを目指す。
オーロラビジョン

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