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青松敬鎔 内野手 #63

不屈の精神で花を咲かす

 



 雑草魂。そんな言葉が青松敬鎔にはよく似合う。プロ入りから苦節9年。不屈の精神で、やっと巡ってきたチャンスをしっかりと手中に収めた。

 京都府出身。高校は大阪の強豪・上宮太子高に進学した。強打の捕手として1年からベンチ入り。“聖地”甲子園を目指しながら、青松はもう少し先の将来に目を向けて野球に対していた。

「仲間と一緒に甲子園出場を目標にはしていました。ただ、それがすべてじゃない。その先にあるプロをずっと考えていたので」

 プロになれないなら野球を辞めるつもりだった。高校野球は人生の通過点でしかなかった。だからこそ、高校野球の思い出を聞かれても「正直、あんまりないんです。とにかくプロ野球選手になることだけを考えていました」と振り返る。結局、甲子園という舞台を経験することなく高校生活を終えた。

 05年ドラフト7巡目でプロ入りするも、想像以上に試練の期間が長かった。昨季までの8年間で一軍出場は1試合(06年9月26日・西武戦、インボイス)のみ。二軍暮らしが続いていたが、昨秋には大きな転機を迎えた。捕手から一塁手へのコンバートだ。

「伊東監督から“右の長距離打者としてならチャンスはある”と言われて。小学3年からやってきた捕手を辞める悔しさもあったけど、前向きなコンバートだと受け入れた。後がない立場だったので」

 7月31日に一軍昇格を果たし、代打で3試合に出場し、2打数2安打1打点1死球と猛アピールした。六番・DHでプロ初スタメンとなった8月3日のオリックス戦(ほっと神戸)は3安打1打点。不遇の日々を知る遅咲きの大砲は、誰よりもどん欲だ。
オーロラビジョン

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