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新井貴浩 内野手 #25

痛みが消え打撃に変化が。巨人追走の先頭に立つ!

 



 高校時代に甲子園出場を果たせなかった新井貴浩にとって、夏には特別な思い入れがある。広島工高1年の夏、甲子園のアルプススタンドから「俺たちも」と先輩たちのプレーを追った。3年はベスト16止まりだったが、そのあきらめない思いは原点になっている。

「子どものころは父親に広島市民球場に連れていってもらっていました。自分もホームランバッターになりたいと思った。下手くそと言われながら練習してきたし、あきらめない気持ちが大切だと思う」

 新井が頭角を表したのは駒大進学後だった。しかも、プロ入りは広島から98年ドラフト6位と下位指名で、典型的な遅咲きのプレーヤー。その新井が今シーズンは勝負強さを発揮して、見違えるような働きを見せている。

 8月4日の巨人戦(東京ドーム)ではマルチ安打と9回にダメ押しの右犠飛を放った。この日の2打点で通算1019打点に達し、ミスタータイガース・掛布雅之氏の記録に並んだ。「客観的にはすごいなと思う。でも、まだまだゲームがあるから」と気を緩めない。

 昨季から右肩痛に悩まされてきた主砲。スタメン出場は開幕8戦目だった。「右肩の痛みがなくなったことが大きい。ボールを手元に引きつけて打てるようになった」。前半戦終了時の成績(打率.293、41打点、11本塁打)、オールスターで5年ぶりMVP獲得の結果が、完全復調を証明している。

 今シーズンは四球数が多いのも新井のバッティングの特長で、ボールの見極めができている。巨人追走に向けて「可能性がある限りあきらめない。これからも食らいついていく」と厳しい夏場をネバーギブアップの精神で戦い抜く。
オーロラビジョン

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