夏に強い男が本領発揮だ。
鳥谷敬のヒット数が上がってきた。7月17日の
巨人戦(甲子園)から17試合連続ヒットを記録。暑過ぎる季節をよそに「自分のためでなくチームのためですから」と主将のバットはヒートアップ気味だ。
「巨人どうこうじゃない。目の前のゲームを勝てるようにしないといけないし、全部勝つつもり」
8月11日の
中日戦(ナゴヤドーム)で連続安打は途絶えた。延長10回二死。鳥谷に打席が回ってきたが「走者がいないので出塁を考えた」と四球を選んだ。
鳥谷にすれば打って出ることも考えられたが、リーグ最多の四球(8月14日時点69四球)で一塁に歩きチーム勝利優先の姿勢を貫いた。続く
マートンの決勝打で本塁生還。鳥谷らしい働きだった。
本人にとって、プロ10年目で初めてWBCメンバーに選出されたのも大きかった。坂本(巨人)が遊撃を守ることになったチーム事情から慣れない二塁を任されたが無難にこなした。
3月9日。2次ラウンドの台湾戦(東京ドーム)の1点を追う9回二死一塁から二盗を成功させたのは衝撃的だった。その後、井端(中日)が適時打を放ってホームに生還し、逆転劇につながった。
翌10日のオランダ戦でも先頭打者本塁打。サンフランシスコでの準決勝のオランダ戦でも反撃の三塁打を放った。WBC3連覇は果たせなかったが、鳥谷にとっては貴重な経験になった。「個人的にいろいろな選手と話せたし幸せだった」
球界を代表するプレーヤーに成長。チームをけん引する鳥谷は「最後まで気を緩めずに戦っていくだけだ」と一戦必勝の構えだ。