チームの雰囲気を一気に変える「2番手捕手」。7月28日の
日本ハム戦(ヤフオクドーム)。8回表の守備から途中出場した
山崎勝己が、同点に追い付いた8回裏に二死一、三塁から遊撃へボテボテの当たりを放った。遊撃手は二塁へ送球したにもかかわらず、ヘッドスライディング。「投げてくると思ったんで……」。バツが悪そうに苦笑いを浮かべたが、ベンチは大盛り上がり。終盤の逆転勝ちで今季5度目の4連勝を飾った。
高い守備力と安定したリードに定評があるプロ13年目。今季も打率は2割台前半と決して打撃には期待できないが、「勝負強さ」と「意外性」でチームに大きな力をもたらしている。代打として途中出場した7月15日の
ロッテ戦(QVCマリン)でも、代打で決勝打となる2点適時二塁打を放ち、連勝に貢献。6月6日の
DeNA戦(横浜)では、プロ通算4本目のアーチを放ち、交流戦優勝への勢いをつけた。打った際には、いずれもベンチが異様な盛り上がりを見せるムードメーカーだ。
2005年に一軍初出場し、今年6月24日には出場選手登録日数が国内FA権取得条件の8年に達した。「入ったころは(FA資格を)取れるような選手になれるとは思っていなかった。よく頑張ってこられたと思う」。一軍に定着してから、昨季まで出場が100試合を超えたのは2シーズンしかなく、
「不動の正捕手」という立場ではないが、経験あるベテラン捕手だけに行使すれば「争奪戦」となる可能性も低くない。球団の
小林至・海外担当兼中長期戦略担当部長が「チームに欠かせない選手」と早くも全力で引き留めに当たる考えを示したことが、「2番手捕手」の存在の大きさを表している。