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金澤岳 捕手 #62

居場所を勝ち取る11年目

 



 里崎が負傷離脱していたため、正捕手不在のままペナントレースに突入したロッテ。他球団とは第2捕手の位置づけや役割が少し異なっている。「ウチに限って言えば、全員が正捕手であり、第2捕手だね」。就任1年目の伊東監督とともに若手捕手の育成に心血を注ぐ中村バッテリーコーチはこんな表現で捕手陣について説明した。

 現在、里崎と金澤岳の2人態勢で、11年目の金澤が第2捕手を務めている。10年間で一軍出場は57試合だが、今季はすでに39試合でマスクをかぶっている(8月22日時点)。「里崎さんがいなくてチャンスだと思った。レギュラーを取るという気持ちもあった」

 初の開幕マスクという大役でスタートした今季は一時期、二軍降格したものの、ここまでほぼ一軍に帯同している。中村コーチも「捕手陣の中で里崎の次に投手陣のことを知っている。ベンチからのサインにもある程度は対応してくれる」と評価している。

 とはいえ、金澤が確固たる地位を確立したというわけではない。里崎の離脱時は江村や田村といった若手と、開幕直前にヤクルトからトレードで獲得した川本も併用。「里崎がいないことで、多くの捕手が経験を積めた。今では誰が出てもそれなりにやれる力がついた」と中村コーチ。ピンチはチャンスだった。正捕手の穴を全員で埋めながら、個々のレベルアップを実現した。つまりは、誰にでもチャンスはあるということだ。そのことは金澤も十分に理解している。「一軍の経験が少なかった分、すべてが勉強。伊東監督と中村コーチの下で必死でやるしかない」。“扇の要”をめぐる争いは12球団でもっともシ烈だ。
オーロラビジョン

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