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實松一成 捕手 #27

球界最高峰に控えて保つ緊張感

 



 球界を代表する捕手で四番打者の阿部慎之助がいるが、いつ、出番が回ってくるか分からない。實松一成は「慌てなくていいように、いつでもいける準備はしている。毎日、心掛けている」と言う。今季も8月21日までに、阿部がケガや休養で先発を外れた14試合で代わりにマスクをかぶっている。攻守に阿部の不在を感じさせないような働きを見せてきた。特に、8月は打撃が好調だ。8日のDeNA戦(横浜)では今季初の3安打をマークし、チームの逆転勝ちに貢献した。

 16日の中日戦(東京ドーム)では2回に先制の左前打。さらに、1対5の6回には内角に入ってくる変化球をうまくさばき、左越えに1号2ランを運んだ。ただ「うれしい」と言いつつも、チームが試合に敗れたとあって複雑な表情を見せた。一発を喜ぶよりも、4回無死満塁での見逃し三振を悔やみ、「流れが向こうにいってしまった。反省です」と自らを戒めていた。

 ほかのポジションと違い、捕手は試合勘が大事だ。ベテランの實松でも「10試合、20試合と出なければ怖さもある」と認める。その怖さを取り除くために、普段の準備が重要になってくる。投手の今の調子や相手打線の傾向など、正捕手の阿部と密にコミュニケーションを取り、頭の中を整理しておく。試合間隔が空けば「ブルペンで速い球を見るようにしている」と“目慣らし”も行う。

 先発に限らず、途中交代でいきなりマスクをかぶることもある。どんな局面でも落ち着いて、平常心で試合をコントロールしないといけない。實松は「パッと試合に入れるようにしている」と常に緊張感を保っている。
オーロラビジョン

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