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島内宏明 外野手 #35

本能の九番打者

 



 恐怖の下位打線が、首位を快走する要因の一つだ。楽天のオーダーは、一番から九番までほぼ固定。中盤から後半にかけて、七番から九番は松井、嶋、そして島内宏明の3人で固めている。

 2年目にして、レギュラーの座をつかんだのが島内だ。九番ながら6本塁打(8月29日現在)と、一発もある。入団当初は俊足選手として代走要員というイメージが強かったが「アイツのスイングは速い」と、星野監督はその打力にもほれ込んだ。中堅に聖澤がいたときは右翼手だったが、捕手だった岡島が「一番・右翼」に抜てきされてからは、中堅を守っている。

 天然ボケキャラで、チームのいじられ役。「田代(打撃コーチ)がアイツに打席に立つ前にどんなアドバイスすると思う?『本能で打て!』だぞ……」と笑う指揮官。だがその“本能”とも言うべき天才的センスで、規定打席には達しないものの、打率も3割近くまで上昇させている。

 新人だった昨年、開幕カードのロッテ戦で三塁走者の代走として初出場した際、犠飛に十分な当たりにタッチアップしようとして転倒。絶好の得点機を消してしまった苦い過去がある。明大の先輩でもある星野監督は、時折その話をしては苦笑いを浮かべることが多かったが、今となっては不動の中堅手だ。「ようやく外野手は競争ができるようになってきた」と指揮官。聖澤、鉄平、牧田というのがこれまでの外野手陣。現在は、捕手の岡島、打力抜群の内野手登録の枡田、そして島内と、まったく顔ぶれが変わってきている。

 シーズンはいよいよ大詰め。CS、日本シリーズを目指す中で、島内の存在は欠かせない。
オーロラビジョン

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