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鶴岡一成 捕手 #10

打撃でもチームを引っ張るマスクマン

 



 正捕手の座を揺るぎないものとし、打席ではいぶし銀の活躍を見せている。巨人から古巣に戻って2年目のシーズンで、鶴岡一成が「八番・捕手」で抜群の存在感を放っている。勝負強い打撃が光る今季は自己最高の37打点(8月29日現在)をマークするなど、強力打線に欠かせない存在となっている。

 打線全体が好調を維持している現状にある中でも、中畑監督の鶴岡に対する評価は高い。貧打に泣いた昨年は、捕手をオーダーに組み入れた八番で打線の流れが途切れることが多かった。だが今シーズンは鶴岡の働きで打線に切れ目がなくなり、相手にとっては脅威のオーダーが完成している。中畑監督は「(打線の)陰のMVP。クリーンアップを打てる力がある」と賛辞を惜しまない。シーズン佳境を迎えても、鶴岡のスイングは鋭さを失っていない。

 状態の良さを物語ったのは、8月24日の巨人戦(横浜)だった。2対8と敗戦濃厚の雰囲気の中で第4打席を迎えたが、懸命なスイングで観客を沸かせた。山口相手にコースを狙い澄ました変化球や直球に食らい付いた。必死にファウルで粘る姿勢に、1球ごとにファンはどよめいた。結局ファウルは14球。途中からは大きく肩で息をしながらのスイングで最後は空振り三振に倒れたが、1打席19球はプロ野球タイ記録となった。これまでは1947年に太陽の松井信勝、昨年にソフトバンク明石健志がマークしている。記録を伝え聞いた鶴岡は「えっ、タイ記録!? だったらもう少し粘れば良かった」とおどけて見せた。

 CS進出へ必死の戦いが続くが、リード面だけではなくバットでも鶴岡がチームをけん引する。
オーロラビジョン

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