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中日・西川健太郎 「勝てる投手」への過渡期

 


 高卒ルーキーながら、昨季は3試合に登板した。これが「経験」だとするならば、2年目の今季は「戦力」だ。そう思ったときに西川健太郎が残している10試合、1勝4敗、防御率5.40(9月11日現在)という数字は「満足」なのか、それとも「不満」なのか……。

「自分では全然、満足できていません。自分の球をしっかり投げられればある程度は抑えられる。そう思った反面、それが難しい。続けていくことができなかったし、その試合の中でも波が出てしまいましたから」

 41回2/3を投げて、被安打は42、被本塁打は6。与四球15、奪三振24という内容だ。スピンの利いた球をコーナーに集め、打たせて取るという投球スタイル。逆に言えば、少しでも甘く入ると痛打されているということだ。

 プロ初勝利は7月31日の阪神戦(甲子園)。味方の援護はクラークのソロだけという岩田との投げ合いを、7回、1安打、無失点の快投で制した。「たまたま」ではできない投球は、西川のポテンシャルの高さを証明している。ところが、その後は勝ち星を積み重ねられなかったという現実。まだ20歳。年齢を考えれば試練や壁は当然あるのだが……。「ここで甘くいくなという勝負どころ。それを感じ取って、投げ切れる投手になってほしい」

 これがかつての大エース・今中慎二投手コーチの言葉だ。「いい投手」はたくさんいる。そうではなく「勝てる投手」を目指せというエール。例えば故障で離脱中だがエース・吉見は最高の見本だろう。勝つ味は知った。だが、その1勝よりも4敗こそが将来への肥料となるはずだ。
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