チームに今までにない走塁を見せたのが
西岡剛だ。吉竹三塁コーチも「チームが見習うべき走塁が多い」というのは盗塁に限ったものではない。移籍1年目はさすがと思わせる走塁技術を見せるプレーも目立った。
例えば9月1日の
広島戦(甲子園)の3回裏の場面。二塁打で出塁、続く上本の二塁手・菊池の頭上を越えるポテン打でホームイン。詰まった当たりに躊ちゅう躇ちょしていれば生還できなかったが、西岡の打球判断がすぐれた証拠だった。
西岡本人は「相手の守備位置、守備範囲の確認は重要」という。オープン戦でも一塁走者から二番・
大和の安打で三進も見られた。走塁面の強化はチームの大きな課題だったが、これを体現したのが、西岡の存在といえるだろう。
ロッテ時代の05、06年には盗塁王のタイトルを獲得している。もともと攻守走の三拍子そろったアスリートとして評価が高かった。「もう若手じゃないし結果で示さないとね」。和田監督も「判断力がすぐれている」とチームに走塁革命をもたらすことを期待していた。
しかし、自身は7月下旬に左ヒザ痛で戦線離脱を強いられた。リハビリを終えた8月16日対
ヤクルト戦(京セラドーム)から一軍復帰。守備ではプロ初の三塁を守り、打順も一、三番に起用されるなど、今後に向けて攻守にポジションが試されている状況だ。
また残りシーズンは打率3割もかかる。メジャー移籍前の10年に.346で首位打者にも輝いた。「相手より自分のチームが勝つことだけを考えないといけない」と言い続けたがV逸に終わった。今後はチーム内で走塁の意識を高めながら、打率を大台に乗せることも視野に入れていく。