37歳になっても、気持ちの衰えはない。
横山竜士の存在感は、日に日に大きくなっていった。9月16日
巨人戦(マツダ
広島)。後半戦、フル回転していたベテランにご褒美が訪れる。
1対1の8回から、4番手で登板。この試合まで、20試合でわずか1失点と抜群の安定感を誇り、緊迫の展開でもベンチの大きな信頼を背負ってマウンドに立った。夏場以降キレを増した140キロ台中盤の直球と、スライダーを武器に簡単に二死を奪う。気持ちを前面に押し出すスタイルに、ファンも心を熱くする。最後は、巨人・ボウカーをスライダーで空振り三振。この熱投が、チームの打線を奮起させ今季初勝利を手にした。
チームの6連勝に貢献した右腕は、「また、一戦一戦投げていくだけです」と照れ隠し。だが、前回のAクラスを知るベテランは、16年前の話題になると、思い出が一気によみがえった。
「プレッシャーもなかったし、投げるのが本当に楽しくて仕方なかった。いくらでも投げたいと思っていた。やっぱり、弱いチームの一員でいるより、強いチームの一員でありたいですね」
1997年はプロデビューの年ながら、56試合に登板。中継ぎとして、10勝を挙げる活躍でAクラス入りに大きく貢献した。
11年には腰の手術を受けるなど、ここ数年はシーズンをフルで活躍したことはない。だからこそ、体のケアには人一倍気を配り、ホームゲームのときは、午前中に約30キロ離れた二軍施設でトレーニングを行ってから、球場入りしている。その甲斐もあり、今季はシーズン終盤でも体は万全だ。右腕は間違いなく、今のチームに必要な存在の1人だ。