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マートン 外野手 #9

逆転サヨナラ2ラン! すべてを救った一打

 



 それは神がかった夜だった。マット・マートンが振り抜いた打球は、甲子園の夜空に高々と放物線を描いて、左中間スタンドに届いた。

 試合後のヒーローインタビューでは「どんな状況でもサヨナラ打は特別だよ。エキサイティングだ」と興奮気味に答えた。

 逆転サヨナラ2ラン。6月9日ロッテ戦(甲子園)。助っ人のバットで首位の座を奪回したこの一戦が、2013年のベストゲームだ。4時間21分の熱戦に決着をつけた。

 1点を追う9回裏無死一塁。ロッテの守護神・益田の2球目、スライダーを打ち込んだ。マートンは2日前の西武戦(甲子園)でも人生初のサヨナラ本塁打を放っていた。

 劇的勝利の価値が高まったのは、チームの首位返り咲きに貢献したことに加えて、6回途中3失点で土がつきそうな先発・藤浪を救ったこと。ここで負ければ藤浪は甲子園初黒星を喫するところだった。

 まさに「四番」の働きだったマートンだが、チームは最後までその勢いに乗り切ることができなかった。本人は打率.314、19本塁打、85打点で2年契約を終えた。

 日本を離れる際には「阪神には感謝している」とコメントを残して再来日を約束しなかった。しかし、球団との交渉で5年目となる来シーズンの再契約が完了した。「今年は悔しい思いをしたが、このチームで優勝を勝ち取りたいという気持ちが強い。しっかり体を作って来年のキャンプに合流するよ」

 大砲・ゴメスの加入でGM砲コンビが誕生しそうだ。得点力不足で優勝を逃したチームに、再び助っ人パワーでインパクトを与えるつもりだ。
オーロラビジョン

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