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佐藤兼伊知 コーチ #81

佐藤兼伊知コーチ 身を削り、選手の成長を手助け

 



 コーチ歴22年。今江、根元、鈴木――。現在のロッテ内野手陣のほぼ全員が、佐藤兼伊知内野守備・走塁コーチの指導を受けて育ってきた。

 モットーがある。「誰でもまだ伸ばせる短所が必ずある。そこに気付いてあげることが俺の仕事なんだよ」。派手なプレーは求めない。口癖は「基本に忠実に」だ。「応用は基本があってこそのものでしょ。だから基本的な同じ動きを反復でやるしかない」。地味な練習を、体に染みつくまで徹底的に繰り返すのが“佐藤流”だ。石垣島での春季キャンプ。休日も佐藤コーチは必ず室内練習場にいた。根元や鈴木らにノックの嵐を浴びせる。「練習を手伝ってくれと言われれば、いくらでも付き合うよ。まあ、体はしんどいけどな」

 3年目の鈴木の活躍はまさにコーチとしての醍醐味そのものだった。「冗談で“ベストナインぐらい取れよな”と言っていたら、本当に取ってくれた。やっぱり選手が活躍してくれるのが一番の喜びだから」。昨年5月、ノックの打ち過ぎが原因で第4、5頸椎神経根症と診断された。腕がしびれ、激しい痛みに襲われたが、痛み止めを打ちながら指導を続けた。選手のためなら自己犠牲もいとわない。

 選手もコーチへの感謝をグラウンドで表現する。「僕の横には常に兼伊知さんがいてくれる。全試合出場もベストナインもすべてコーチのおかげ。“感謝”という言葉では表せないぐらい」と話すのは、新主将に就任した鈴木だ。

 今季は新外国人・クルーズやドラフト3位・三木らが加入。「競争の中で成長してほしい。毎年のことだけど、仕事が増えたな」。新たなスターを育てるために、息つく間もなく指導に明け暮れる。
オーロラビジョン

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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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