鳥谷敬が「優勝」という2文字を口にするのは、チームリーダーとしての自覚が強いからだ。生え抜きのスタメンに乏しいチームにあって、鳥谷は「今年は優勝しなければいけない年です」と強い口調で言い切る。
04年以来、10年ぶりの
巨人との開幕戦でスタートした鳥谷は「すべての面で全体的にレベルアップしている」と手応えを感じている。キャプテンとしても「自分も盛り上げていきたい」と自覚あるリーダー役をこなすつもりだ。
今までは大人しく控えめな性格から、積極的に前面に出るケースを見る機会は少なかった。しかし、金本、桧山らベテラン組の引退で端境期のチームにあって、鳥谷に寄せられる期待は大きい。その声に応える形で、ここ数年はマウンドに行って声を掛ける場面も目立っている。
本人も「若い選手と年齢も違うけど、できるだけコミュニケーションをとっていきたい」と若手ともベンチ、ロッカーで会話を交わすケースも増えてきている。
もちろん自身のプレーでもチームを引っ張っていく。3年契約の最終年となる和田監督は、鳥谷の「一番」起用に踏み切った。「一番」で開幕を迎えたのは07年
広島戦以来、7年ぶり。堅い守備、高い出塁率には定評があるが、監督が「トリが一番なら30盗塁はできる」と攻守走の3拍子そろった働きでリードしていく。
オープン戦途中から背中の張りを訴えて見切り発車となった開幕戦。しかし、鳥谷は「開幕に向けて無理して悪くなるよりは、そこに照準を合わせたかった。とにかく最後まであきらめずに戦っていく」とフル稼働する決意でスタートを切った。