明るい性格で人に勇気を与える。そして打てばベンチが活気づく。それが
野本圭だ。「地味」、「おとなしい」、さらには「暗い」とまで言われる
中日において、野本の存在は貴重だ。「元気なことしか取り柄がありませんから!」
甲高い声は、試合中でもよく通る。もちろん、グラウンドでも貢献している。代打を中心に20試合に出場し、25打数8安打、打率.320(4月28日現在)。外野手としても思い切りのいいダイビングキャッチは、ときに劣勢の流れを一気に変える。決して「元気だけが取り柄」の選手ではないということだ。
すでに昨季の数字(出場14試合、3安打)を超えている。高木前監督時代は、なかなか出番に恵まれなかった。それでも明るさと元気さを失わなかった野本を、ベテラン捕手として見ていたのが谷繁監督だった。「そういう選手にはチャンスは与えますよ。それをつかむか、つかめないかは本人次第だけど」
沖縄での春季キャンプで一軍の北谷組に加わったのも鶴の一声。それを野本はつかみ取った。「負けているときでも野本さんの声でムードが高まりますから。本当に助かっています」とレギュラーの平田も野本への感謝を口にする。選手会副会長として、駒大の後輩・大島会長をサポートするのも野本の仕事だ。「個人としては試合に出られる喜びを忘れずに、最後にチームが勝てれば最高です。もちろん大事なところで使ってもらっているんだから、結果も出したいですけどね」
元気に明るくをモットーにする竜の突貫小僧が、これからもチームの隠し味となるはずだ。