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呉昇桓投手・鉄仮面のごとく淡々と

 



 あの球児(現カブス)を超えたのは、虎の新ストッパー呉昇桓だ。「なにもセーブ数を決めて投げるわけではないので意識はしてない」。マウンドで鉄仮面と化す新守護神が発するセリフが頼もしい。

 8月を終えて51試合に登板してすでに33セーブを挙げた。8月17日のDeNA戦(横浜)では、3点差の9回裏を17球で締めて、球団では2011年の藤川球児以来となる節目の30セーブをマークした。開幕から額面どおりのパフォーマンスを示してきた。

 もはやタイガースの外国人で史上最強の抑え役であることは、その数字が証明している。8月12日の巨人戦(東京ドーム)で挙げた28セーブは、98年のクローザー・リベラを抜いて阪神外国人の年間セーブ球団新記録となった。

「自分のセーブよりチームの勝利です。セーブ数はやっているうちについてきた数字に過ぎない。最後まで1試合1試合集中していきます」

 試合前のグラウンドでも、左手にストップウォッチを握り締めては、「常に最高の状態で臨まなければならない」と、その日の体調をはかりながらトレーニングの負荷を変えている。

 とにかく韓国プロ球界で最多277セーブを記録した実績はダテではなかった。三星(サムソン)に在籍した9シーズンのうち5度の優勝に大きく貢献した右腕が、阪神の9年ぶりVをもたらそうと右腕をふるう。

 来日1年目外国人投手の最多セーブ数は、00年ギャラード(中日)と11年サファテ(広島)の35セーブで更新の期待がかかる。本人も「最後まで投げきる」とここからさらにスパークする。
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