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ロサリオ外野手・23年ぶりの歓喜を引き寄せる力

 



 野球を心底楽しんでいる陽気なドミニカンが頼みの綱だ。大砲・エルドレッドが絶不調のまま二軍に再降格し、キラの調子も上がらない。主砲の座に座っていた2人の体たらくを受け、逆転Vへ、ロサリオにかかる期待は日に日に大きくなっている。

 9月2日の巨人戦(長野)で偉業を達成した。1ゲーム差まで迫り、首位を走る王者との直接対決3連戦の初戦。想像を絶するプレッシャーの中、「一番・左翼」で2戦ぶりに先発復帰すると、1回表の1打席目にいきなり快音を響かせた。フルカウントから杉内の高め直球を全力でたたけば、大飛球はバックスクリーン左にズドン。「少し上がり過ぎたと思ったけど、いい風も吹いていたね」。来日初となる先頭打者弾は「ロサリオ劇場」の幕開けにすぎなかった。

 2点ビハインドとなった2回は二死三塁から左翼フェンス直撃の適時三塁打。6回に右越え二塁打を放つと、8回は先頭で左腕・山口の外角スライダーに食らいついた。ボテボテの打球が三塁内野安打となり、人生初のサイクル安打を達成。「最後の打席だと思っていたし、とにかく一塁まで全力で走った。非常にうれしかったよ」

 08年9月3日、小笠原(巨人、現中日)以来、プロ野球63人目(67度目)の快挙。勝利に結び付かず満面の笑みとはいかなかったが、巨人投手陣に脅威を与えた。

 王者との首位争いがいよいよ佳境を迎え、R砲の存在感は増す一方だ。この3連戦を終えた時点で、今季巨人戦の通算成績は11試合に出場して40打数19安打、打率.475で4本塁打、9打点を誇る。ロサリオの打棒には、23年ぶりのVを引き寄せるだけの力がある。
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