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則本昂大投手・チームの希望となった若き右腕

 



 シーズンの疲れを微塵も感じさせず、則本昂大はメジャー打線に立ち向かった。11月の日米野球第3戦に先発。「人生最高の投球」と振り返る登板は、5回まで無安打どころか、一人の走者すら許さない完全投球。自己最高の155キロをマークするなど、3連続を含む6奪三振。チームの枠を越え、球界を代表する実力を持つことを知らしめた。

 最下位に沈んだチームの中でも、光り輝いていた。新人から2年連続の大役となった開幕戦・西武戦(西武ドーム)で6安打1失点のプロ初完投勝利。交流戦では登板6試合で新記録の4完封をマーク。球界25年ぶりの1シーズン7完封を飾り、リーグ2位の14勝(10敗)を積み上げた。投球回202回2/3、9完投(無四球5)、7完封はいずれもリーグ最多の成績。2年目のジンクスを吹き飛ばしただけでなく、エースと呼ぶにふさわしい成績を残した。

 苦しみも乗り越え、成長した。9勝目を挙げてから先発で5度も足踏みした。中5日でフル回転した交流戦の疲労が襲いかかり、思うような投球ができずにいた。それでも、8月15日のロッテ戦(コボスタ宮城)に1安打完封で節目の1勝を飾り、よみがえった。最多勝こそ2勝差でオリックスの金子に譲ったが、最下位のチームで14勝した価値は高い。

 球団からも最大限の評価を受けた。12月3日に仙台市内の球団事務所で行われた契約更改交渉で、倍増6000万円アップの年俸1億2000万円(金額は推定)で更改。トッププレーヤーの仲間入りを果たした。星野前監督から「3年やってこそエースだぞ」と言われ続けた。次なるは「沢村賞」も目標に、勝負の3年目に挑む。
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