工藤監督が古巣・
巨人相手に、就任後初の同一カード3連勝を飾った。道中を彩ったのは、投手陣最年長男の気迫とガッツだった。6月6日、東京ドームで杉内との投げ合いを制し、
スタンリッジが7回1失点で、この時点でチーム単独トップのシーズン6勝目。「自分に勝ちがつくのはオマケみたいなもの」。勝って自賛しないナイスガイ。この試合もチーム勝利至上主義の末の好結果だった。
3回まで被安打5の2四球。序盤は不安定だったが、4回以降はリズムに乗った。7回のピンチも粘り抜き、「いい投手と投げ合って勝ててよかったよ。チームが勝つチャンスをつくるのが自分の役割」。パーフェクトにねじ伏せるより、走者を出しても気迫でホームを死守するのがスタイルだ。
今年で37歳になるが、良くも悪くも、ピッチングは若い。技巧派に転じることもなく、150キロに迫る真っすぐが投球の軸。力みで引っかけて逆球になり、ピンチの投げ急ぎで抜けて逆球になる。工藤監督も、佐藤投手コーチも声をそろえて「もっと慎重に」となだめたことがあった。それで崩れることもあるが、結果的に粘れてもいる根拠は球威に他ならない。
「体は毎年変わっている」と素直に認める。若ぶっている人間のメンタリティーとは違う。「一生懸命、トレーニングを続けることしか考えていない。それをやめたらオレはクビだよ」。大きな体で走り込み、トレーニングをガンガンして、大声でガハハと笑う。メジャー・リーグ往年の名選手、スタン・ミュージアルは、その人格ゆえ「スタン・ザ・マン」(男の中の男)と呼ばれた。スタンの響きを持つ青い目のオジサンを、同僚たちは慕っている。