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石原慶幸捕手・存在感を高める経験に基づく配球

 



 日を追うごとに、石原慶幸の存在感は大きくなっている。開幕前は若い會澤が正捕手筆頭候補とされていた。実際、先発投手のローテーションが1周する開幕6試合で、石原が先発マスクをかぶったのは、2戦目のジョンソンが先発した試合と、5戦目の野村が先発した試合だけだった。だがスタメンの試合で与える安心感は大きく、次第に出場を増やしている。連敗中など、チームが苦しい状況のときにマスクをかぶる機会も多くなってきた。

 その術がいかんなく発揮されたのが5月29日、京セラドームでのオリックス戦だろう。黒田博樹とコンビを組み、オリックス打線を翻弄。状態を見ながらツーシームを少なめに抑え、スライダーと直球のコンビネーションで打ち取った。要所でマウンドにも足を運び、制球に苦しむ黒田を落ち着かせた。黒田も「苦しい投球だったが、石原がうまく導いてくれた」と感謝した。故障して以来、初白星となる4勝目を見事にアシストした。石原自身は「全部のボールが良かった。前後のボールもうまく使えた」と控えめに喜んだが、ベテランの味が出ていた。

 緒方監督は會澤に期待しつつも、「リード面においてはまだまだ。石原の方が絶大なものがある」とベテランへ信頼を寄せている。奇をてらうリードではないものの、豊富な経験と確かな観察眼で確実に裏をかいていく。特に来日1年目のジョンソンとのコンビは開幕直後から相性抜群で、助っ人も「すべてを石原さんに任せている」と全幅の信頼を寄せる。ピンチでも動じず、投手が安心する存在感。石原はこれからも与えられる役割のため、普通に、準備を進めていく。頼れるベテランがここにいる。
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