楽天の「8回の男」は
ライナー・クルーズだ。150キロを超える直球を武器にグイグイと打者の胸元をえぐる。今季はここまで15試合に登板し、いまだ無失点(6月24日時点)。クローザーの松井裕につなぐセットアッパーに定着し、存在感を見せている。
昨季6月に入団し、中継ぎとして29試合に登板。防御率3.99と安定感に欠いた1年目になった。今季は開幕一軍メンバーに名を連ねたが、4月中旬に右ヒジの炎症で一時離脱。それでも5月31日の再登録以降はその影響を感じさせない好投を続けている。「去年に比べてコントロールが良くなった。いいところで変化球も決まるしね」と大久保監督。全幅の信頼を置くようになった。
グラウンドを離れれば、ペーニャや
ウィーラーらと大声でジョークを言い合うナイスガイも、マウンドに上がれば表情は一変。抜けた球が打者の顔面近くを通過しようが構わず攻める。その荒れ球が打者には脅威になる。今季の最速は157キロ。指揮官は「どこにボールがいくか分からない分、バッターから見たら怖いと思うよ」とニヤリと笑った。
楽天のチーム防御率3.06はリーグトップ。打線に故障者が続出する中、投手陣の踏ん張りで貯金を作った。76試合終了時点で完投は「4」。「みんな連日準備してくれて、本当に頭が下がる」。継投策を講じることが多い指揮官も感謝の言葉を口にする。
シーズンも折り返しを過ぎ、今後は暑い時期での戦いとなる。だが「母国のドミニカ共和国も暑い。だから全然大丈夫だよ」と頼もしい。連投もいとわない陽気なドミニカンが、チームの巻き返しに貢献していく。