週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

福地元春投手・痛感した一軍の厚いカベ

 



 肩で息をしながらベンチへ戻った。福地元春にとって高く、分厚い一軍のカベだったに違いない。3対17で大敗した7月21日のヤクルト戦(横浜)。投手陣は9回の1イニングで11失点と崩壊した。打者15人、11安打とめった打ち。ドラフト4位ルーキーも、2/3回を4失点と飲みこまれた。試合後、1/3回を7失点と大炎上した林昌範は二軍降格を言い渡された。同じ左の中継ぎでも実績、キャリアともに上の先輩投手。自分が生き残った意味を理解し、あるべき姿を再確認した。

 2月の宜野湾キャンプ終盤に二軍降格し、山崎康晃倉本寿彦ら同期入団に遅れを取った。島田直也投手コーチにアドバイスを受けながら、ファームでは投球フォームの見直し。体の平行移動を意識し、それを徹底した。「今までは力をロスすることが多かった。そこから球速も出るようになりました」。140キロ中盤だった直球が最速151キロまでアップ。「左のパワーピッチャーは、ウチにいないタイプ。面白いかもしれない」と中畑清監督が注目し、戦力に加えるのも必然だった。

 6月23日に一軍初昇格を果たし、28日の阪神戦(甲子園)が初登板だった。「思い切り腕を振ることだけは心がけたい。自分らしく、ガムシャラにやるしかないので」。ビハインドの試合で登板することが多いが「投げるたびに良くなっている。アイツは楽しそうに放るから。空気とか流れを変える雰囲気を持っているよ」と中畑監督の評価は上々だ。横浜スタジアムの登場曲は同じ名前で「父が大ファンなので」と佐野元春の「SOMEDAY」。怖いもの知らずの全力投球で食らいつき、不可欠な存在として定着したい。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング