「打点王」を争うデッドヒートにも、
畠山和洋は冷静だ。
「特に意識はしていない。(打撃部門)3つのタイトルのうち、どれを取りたいかと言われれば打点。でも、山田が打点を稼いでチームが勝つならそれはそれでいい」
打点を争うライバルは、大ブレーク中の山田。3割30本塁打30盗塁の「トリプルスリー」を確実にし、「三冠王」も射程にとらえる23歳の勢いを頼もしく感じ、自らの刺激に変えている。
プロ15年目の今季は、スタートから波に乗った。4月下旬から調子を上げ、交流戦に入ると本塁打を量産。6月は4戦連続本塁打をマークするなど打率.378、8本塁打、23打点でリーグ月間三冠でトップに立ち、プロ入り後初の月間MVPを獲得した。
しかし、7月8日の
巨人戦(東京ドーム)で左脚の痛みを訴えて途中交代し登録抹消。7月20日から戦列復帰したが、抱えていた股関節痛の影響もあり本調子でない状態が続いた。9月6日現在、後半戦はわずか3本塁打。「ずっとコンディションが悪い」と明かすが、そのなかでも勝負強い打撃で強力打線の四番として役割をしっかりこなしてきた。
個人タイトルより欲しいものがある。チームが最後に優勝した2001年はプロ1年目で1年を通じて二軍にいてまったく実感がなかった。9月13日に33歳となり、若いチーム内では大黒柱の存在。今季中も節目で選手ミーティングを開くなどチームを鼓舞してきた。「チームとしての考え方が日に日に変わって、粘り強い戦いができるようになってきた。優勝できるチャンスがあるなら絶対逃せない」と畠山。打点を量産するその先に、悲願のVも見えてくる。