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斐紹捕手・将来の正捕手候補の足跡

 



 捕手は何より、経験がモノを言うポジションだ。技術、配球、洞察力、そして頑強さ。育成は一朝一夕ではならず、高卒ならなおのことだ。プロ5年目、初の開幕一軍。斐紹にとって十分に転機になり得る15年シーズンだった。

 細川、高谷、鶴岡。一軍の捕手は軒並み30代半ばを迎え、円熟期にある半面、世代交代の時は刻一刻と迫っている。斐紹は、工藤新監督から積極的に出番を与えられた。今季初出場は開幕戦の7回の守備から。エース・攝津とバッテリーを組んだ。8回まで完ぺきに抑えて、9回に失点した。

「開幕戦に出られたことと、その試合で攝津さんの球を受けられたことは大きな収穫。どんな形であれ、出た試合は0点に抑えていくことが、いまの自分にできるアピールだと思う」

 開幕3戦目には、前年2ケタ勝利の中田と先発バッテリー。ところが、この試合の本塁クロスプレーで負傷し交代。左ヒザのじん帯損傷で、戦線離脱を強いられた。

 1カ月とたたないうちに一軍復帰。離脱期間が短かったのは、回復はもとより、工藤監督の期待があってこそだったが、勝ちながら育てるのは容易ではない。そのまた約1カ月後、故障が癒えた細川と入れ替わる形で二軍へ。以後、一軍から声は掛からなかった。結局、細川を軸としながら、打撃で勝負強さを見せた高谷が2番手格として向こうを張って、鶴岡がバックアップし、開幕後に育成から支配下登録された細山田が補う、揺るがない構図が出来上がった。

「今年がダメなら、この先はない」。そんな思いで臨んだと言う5年目。足跡を残しつつも、不完全燃焼だった思いを来季に向けるべく、秋は宮崎、フェニックス・リーグで研鑽の日々を送る。
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