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巨人 阿部慎之助内野手・あこがれの掛布超え

 



 節目に到達した。阿部慎之助は7月1日の広島戦(東京ドーム)で、史上28人目となる通算350本塁打を放った。ただ、大量リードを許した場面での一発とあって「区切りの350号を打てたことは良かったが、素直には喜べないホームラン」と笑顔を見せずに振り返った。

 左腕、戸田からバックスクリーン左へと運んだ。無理に引っ張らず、中堅、逆方向にも大きな打球を放つ、阿部ならではの技術、パワーを見せた。本塁打王のタイトルこそ獲得したことはないが、毎年、コンスタントに一発を放っていく。故障、不振にあえいだ今季も終わってみれば、15本塁打。入団1年目から15年連続で、2ケタ本塁打をマークしてきた。

 この1本にはもう1つ、大きな意味があった。父親と高校時代のチームメートだった元阪神掛布雅之の通算349号を超える一発となった。自ら左打ちにするなど、幼少期から影響を受けてきた存在。349号で並んだときには「あこがれの方に並ぶことができてうれしい」と喜んだ。その掛布氏は阪神を通じ「子どものころから知っている選手で、並んでくれたのはすごくうれしい。次の350本目は野球人生の中でも非常に重い節目の1本になると思う。早く打ってもらって、お祝いの食事に行きたい」とコメントしていた。

 ただ、打率.242、47打点と、シーズンを通して残した成績は物足りなかった。高橋新監督からは来季のキーマンの1人に挙げられている阿部は、オフも休みなく体を動かして来年に備えていく。「監督を男にできるように、成績を残してチームを引っ張っていけたらいい」と生まれ変わるチームで雪辱を期している。
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